第5章 33話 春ヶ原を造ったとき
「春ヶ原は、だいじょうぶですよ」
まだ晴れない顔をしている夏澄に、優月はゆっくりと話す。
「急に悪化はしませんよ。それに、立貴がついてくれています。……まあ、原因が分からないのは不安ですが」
いうと、夏澄はなぜか表情を消した。 動かない瞳に光が差し込み、透きとおった色になる。
そんな夏澄を隠すように、スーフィア身を乗り出した。
「原因……、優月はどう思うの?」
そうですね……、と優月は居住まいを正す。
「春ヶ原を造った霊力の経年劣化かと。吹きつけてきた冷たい風と、枯れ葉も気になります」
「経年劣化……。そうね、そんなこともあるのかも……。ねえ、夏澄」
スーフィアは夏澄を振り返る。
そうだね、と、夏澄はやわらかな笑みを返した。
「でも、劣化って……。春ヶ原を造ってから、どれくらい経つの?」
「十年ほどですね」
「長いのね。ねえ、前から訊きたかったんだけど、春ヶ原って、どんな風にしてできたの?」
スーフィアの言葉に、風花や飛雨も、興味深そうにする。
「ねえ、優月さん。春ヶ原を造ったときのこと、聞かせて」
風花は目を輝かせた。
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