第5章 24話 蒼天樹に降る雨

 蒼天樹は水の精霊の国の中央に生えている、国で一番大きな樹だそうだ。


 楡の樹に似ているが、大きさはその三倍くらいある。

 天に届きそうだから蒼天樹というらしい。


 広がっている葉のところどころに、小さな光の粒が輝いていた。蛍の光に似ている。


 樹に降った雨の粒が、葉に留まり光を放っているのだ。


 雨の名は星水雨というらしい。水の精霊の国の樹だけに降る雨だ。


 星水雨は、樹を護る雨だ。


 樹の陽差しが届きにくい場所に、光を運ぶ手助けをしている。


 そうすれば日陰になっている部分の葉も、光をいっぱいに浴びて生育できるからだ。


 樹に降った雨は、ビー玉くらいの大きさになり葉に留まる。


 そして光を吸い込んで、青や緑に色を変える。それから葉に光を届ける。


 色の種類は全部で七色。 虹の色と同じだ。

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