第5章 22話 解決したら

『それは……。ごめんなさい、できなかったわ』


『霊泉に来たとき、優月が弱っていたのはだからなの?』


『ええ。優月は木から離れたせいだと思っているみたいだけど、風を浴びたからよ。背後からだったから、優月は風を見ていないのね』


『でも、優月だって気配くらい感じるよな』


『遠くで浮かびあがった、弱い風だったからだと思うわ。……ねえ、みんな』


 スーフィアは、瞳だけ風花たちに向けた。


『もしかしたら、また同じことが起きるかもしれない。そのときは優月が傷つく前に、風を押さえましょう』


『そうだね。優月には、自分が狙われているなんて、気づかせたくないしね』


『これはいい機会って考えかたもできるよな。今日、風の原因を突き止めれば、春ヶ原が傷つくことはなくなるもんな』


 飛雨の言葉に、風花の気持ちは高揚した。


 そうだ。今日、風のことを解決したら、悲しみを終わらせられる。


 わたしも、がんばろうっ。


 いいたいが、風花は声を送れない。心の中で強く繰り返した。

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