第5章 17話 守護の霊力

「風花がわらうと、俺もうれしいよ」


 どきどきして、言葉が出なくなる。風花は目一杯の笑顔で応えた。


 夏澄くんに届いたかな。


 そう思ったとき、夏澄が風花の肩に両手をかけた。

「守護の霊力を張らせて、風花」

「え?」


「なにが起こるか分からないから、念のため」


「なにかって、なに? 夏澄くん」


 夏澄は困ったようにわらう。


「う、ん……。念のためだよ。もしかしたら、霊力の強い精霊が関係しているかもしれないしさ。……俺の後をつけてた精霊のこともあるし」


 夏澄の両手が光り出す。


 その澄んだ水色の光はゆっくり伸びて、風花の体を包んだ。

 光は薄い衣の形になったあと、風花の服に融合するようにして、消えていった。


 やがて、夏澄が手を離した時、視界の端になにかが映った。


 誰ががふわっと結界内に舞い降りてきた。

 スーフィアと優月だった。


 風花は目をみはった。


 優月が苦しそうに、体をふらつかせたからだ。

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