第4章 10話 褒めてほしいポメラニアン

 みぞれは、飛雨がぐちゃぐちゃにしたベッドを、ビー玉の目で見つめる。


  ベッドに乗り、物色をはじめた。

 飛雨のにおいを追って、布団に潜り込む。


「すごい寝相だな……」


  星夜がため息をついた。


「あはは、ごめん」

 ベットの上のみぞれは、急に動かなくなった。

 そうかと思ったら、ぽーんと布団から飛び出してくる。


 きれいな毛並みがぐちゃぐちゃだった。


  部屋を駆け回った後、立ち止まり、クローゼットのほうを見た。


 風花は鳥肌が立つほど驚いた。あわてて、クローゼットを背中で隠す。


  きゃんきゃん吠えはじめたみぞれを、すばやく抱きあげた。


「どうしたの? な、なにもいないよ。もしかしてわたしを吠えたの?」


  敵を見つけたと思っているみぞれは、誇らしげだ。『褒めて』というように、目をきらきらさせた。


  あっち行こうねと、風花は廊下に出た。


 星夜はふしぎそうに、クローゼットを見ていた。

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