第2章 32話 陽の精霊の少女

 ローフィは、風花とそっくりな、陽の精霊の少女だ。


 夏澄と一緒に、水の精霊の国を元にもどす方法を探していた。そして、なぜか旅の途中で、急にいなくなった。


 ローフィは夏澄と同じくらい、水の精霊の国を愛おしんでいた。


 だから、自分の意思でいなくなったのではない。

 夏澄にはいえないが、きっとなにかあって、命が消えたんだろうとスーフィアは思っていた。


 夏澄とローフィは両想いだった。


 出逢ってすぐ親密になり、隣り合って咲く花のように離れたことはなかった。


 そんなローフィに似た風花と、夏澄は出逢った。それ以来ずっと混乱している。


「スーフィアはどう思うんだよ?」


「なにが?」

「風花は元精霊で、実はローフィさんなのか? それとも、生まれ代わりか?」


 飛雨はローフィを知らない。

 飛雨が夏澄と旅を始めたのは、ローフィがいなくなったずっと後だ。


 スーフィアは、水の精霊の国に遊びに行ったときに、彼女に逢っている。親しかったわけではないが、噂もたくさん聞いた。


「どっちも違うと思うわ」


 風花は純粋でいい子だ。見かけもローフィにそっくりだ。

 でも、ローフィと同じかというと、違う気がする。元々、人と精霊を並べて考えることなんてできないから、答えなんて出ないけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る