水の空の物語 夢のはじまりと春ヶ原編

近江結衣

プロローグ

プロローグ

 この世にある、きらきらしたもの。


 風花ふうかはきらきらを見るのが好きだ。


 悲しいことが多い世の中だから、光を見たい。それは風花の願いだ。





 春の川原で、風花は彼に出逢った。



 彼、……夏澄のきらきらは、風花の心をいっぱいにした。


 透きとおって、薄水色に広がる川面。その水辺に立つ夏澄。


 きらきら澄んだ瞳で、周りを優しく見つめていた。

 

 なぜかとてもふしぎな風景だった。見慣れている川原がとてもきれいに見えた。


 彼がいるからだ。彼はそこにいるだけで、周りを浄化するような雰囲気を持っていた。


 ……あの人、きっと人じゃない。

 風景はなぜか、なぜかまっすぐそう信じた。


 まぶしくて、彼から目が離せなかった。


 たくさんのきらきらを、夏澄は風花に見せてくれた。幸せをいっぱいくれた。

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