アリ殺し

やきとり

部活帰り

僕はその時アリを殺してしまった…




去年の夏、夕方までの暑さが嘘のように引いたが鬱陶しい蟬しぐれが降り注ぐ部活帰りの時、僕はふとあの公園によりたくなってしまった。


小さい頃、母と一緒にブランコに乗ったり、友達と一緒にかけっこをしたり、決して大きな公園ではなかったが、僕にとっては良い思い出が湯水のように湧き上がって来るあの公園に寄りたくなってしまった。


そして、気づけば僕はあの公園のベンチに座っていた。僕はいつも部活の試合ではベンチで苦虫を噛みつぶしたような顔をしているのだが、ここでは不思議と表情がいつもより和らいでいた。

しかし…

「もうあのすべり台じゃ遊べないな…」

と自分が大きくなっていることを感じで少しセンチメンタルな気持ちにもなった。


そんな時、僕はセミの死骸にむらがるアリの群れが目にとまった。

それは電灯の光の下に群がっていて、まるで僕に気づいてほしかったかのように感じられた。


そのとき、僕は思いだしてしまった。

あの思い出を

アリを踏んで殺してしまった思い出を


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