【短編】私のイメチェンは眼鏡から!
量子エンザ
伊達眼鏡って知っていますか?
第1話 出会い
別に、モテたいわけじゃない。
高校デビューしてから、雰囲気がガラッと変わって、垢抜けた印象になってる友達を少しづつだけど見て来た。
可愛くなってるなって思って、羨ましくなる。
もちろん私もお化粧をしたり、いろんな髪型を試したり、服のコーデを変えて見たりした。
けれど、私にはどれもしっくり来るものがなくて、お化粧もナチュラルメイクで落ち着いてしまったし、髪型もオーソドックスなボブで落ち着いた。
服も色々試したよ。地雷系から量産系、ボーイッシュからカジュアル系とか。
だけど、どれもやっぱりしっくりこなくて、結局いつもの少しフェミニンでガーリーな服で落ち着いてしまった。
かわいいって、一言で言っても様々な種類があって正解がない。
ホント、難しいよね。女の子に生まれて良かったんだか、悪かったんだかわからない。
こう見ると、高校のテストは正解がちゃんと明確にあって、楽だなって思っちゃう。
でもまあ、問題は難しいんだけどさ。テストの順位もクラスで中間だったし……。
ずっと、ファッションについてやってたから、テストの事なんか頭に入ってなかったよ。
これからは気をつけないと……。留年は絶対に嫌だし……。
ああ、もうテストの事はやめやめっ。
今は、かわいいアクセ探しをしてる途中なんだから。
もっと楽しまなくちゃ。
私は、頭をふるふると振って顔をあげて、次のお店を探すことにした。
「確か、前通っていたアクセのショップはこの先に
スマホの地図を頼りに、狭い路地を進む。
生暖かい風が、この路地をすり抜け体感温度が、少し上がる。
とても暑い。まだ七月なのに。
日焼け止めを塗りたくったので、お肌はまだ大丈夫。
と、お肌とスマホと路地にあるお店を確認しながら進んでいると。
「ん?
一つのお店に目が留まった。
おしゃれなランタンのようなランプが扉横に掛かっていて、洋風と思わせるようなアーチ状の両開き扉がどうも気になる。
その横には、同じく扉のようなデザインをしながらも、ショーケースになっていて、数々の眼鏡が展示されていた。
丸いレンズの形をした眼鏡から、四角い眼鏡、
思った以上に眼鏡の種類があり、驚きつつも気が付けばある眼鏡に釘付けにされていた。
「かわいい……」
それは、
耳に掛かる部分は、別素材で作られているらしく透明のピンク色と小さいラメが入って、キラキラと輝いている。
こだわりを感じる
「眼鏡……憧れるなぁ」
この眼鏡、超気になって仕方がない……。
けれど、私は両目1.0の視力を持っているので、眼鏡は必要ないのだけど、ちょっとばかり、好奇心が勝って掛けてみたいという衝動に駆られる。
眼鏡にもこんなにデザインがあったなんて。
今まで気にも止めてなかっただけに、新しい世界を覗いてしまったかもしれない……。
超気になるけど、眼鏡を必要としない私が眼鏡屋さんに入っても大丈夫なのかな……?
すると、すぐ横の扉がキッと音を立て、鈴がリンリンと鳴りながら開く音がした。
やばい。怒られそうっ。
私はソワソワしていると、
「あのっ……眼鏡をお探し……ですか?」
困惑そうな声音を発しながらも、そこには同じくらいの年をした、丸い眼鏡をかけ髪は、ハーフアップでまとめられてふわふわなウエーブの掛かった少女がそこにいた。
一言で言うと〝本を読んでそうな文学少女〟なんだけど、眼鏡がとても似合っていて、そして愛くるしくて。
「かわいい……」
「へっ!?」
「あっごめんなさい! 心の声が……!」
彼女は、頬をもものように染めて少しもじもじしていた。
「い、いえ、
彼女は続いて言った。
「あっ、それよりもっ! 眼鏡、お探しですか? ずっと眺めていらっしゃったのでで……」
ああ、そうだった。本題を……。
「そ、そう……なんだけどね。この眼鏡かわいいなって思っていたんだけど……」
「えっ!! ありがとうございますっ!」
目をキラキラさせながら私の前に来て、手を掴み言った。
「この眼鏡、
「おっおお……。そうなの……?」
掴んでいた手を放して、言う。
「はっ! ごめんなさい。つい癖で……」
「ううん、別に大丈夫だよ。ちなみにこの眼鏡、いつから展示してたの?」
「ええっと……。一ヶ月前くらいから……?」
口元に手を当てながら言っていた。
なんだか仕草がせわしなくて、和む。
と、思っていると、頭一つ分の距離に近づいてこう言った。
「もしよかったら、試着してみませんか……? 絶対お似合いだと思いますっ」
ええーっと……。
凄ーく断りにくいんだけど、言わなきゃ……。
「あ、ありがとう……。だけど私、
「大丈夫ですっ。最近はファッションで掛けてらっしゃる方も実はいるのですよ。だから……どうですか?」
おおう……。見た目によらず、結構押しが強いのね……。
「じゃっじゃあ……。少しだけ……」
私は負けた。でも、押してくれてありがとう、って思ってる。
「やったっ! じゃあ、お店へどうぞっ。あっ、
そう言われ、朝比奈さんに手を引かれてお店に入る事になった。
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