カッターが好きな俺は、裂くもの探す最中に天敵と出会ってしまった

兎餅 ミナカ

カッターが好きな俺は、裂くもの探す最中に天敵と出会ってしまった


 俺はカッターで裂くのが好きだ。好きすぎて夢ではいつも見ている。今日は漆黒の魔女によって闇に閉ざされた世界にいた。そこで俺は味方のぶっ壊れバフによって巨大化と身体強化・神化、光纏・絶クライマックスモードと化したカッターによって魔女ごと魔法を切り裂き、世界を救ったんだ。

 



 

 日課として行っているカッターの刃の部分を新しくして、切れ味を鋭くした。このキラッて光りそうな感じがかっこよくて初めて五年のいまでも飽きない。俺の心をそれほど離さないのだ。

 

 小さくして保存してる段ボールを使って切れ味を確かめ、満足したので登校すべく玄関を出た。





 いつものように何か裂きたくなるモノがないか探していると、視界にやけに真っ白いのが入り込む。巨大な白紙か.....?だとしたら是非とも切り裂きたい。


 俺の身長分ある巨大な白紙。どんな風にしてやろうか。折って小さくしたら厚くなって切りごたえが良くなるし、そのままにしても大きいサイズなので長くその感触を感じることができるのだ。ああ、想像するだけでもテンションが上がるなぁ。


 そんな心の声が漏れていたのだろうか。目に映る白が捻じれた。


 次に視界に入るのは黒曜石のような黒い目。


「私は人間、だよ?紙と間違えちゃ駄目だぞっ!」


 最後に入るのは小さな顔と眩しいくらいの白くてきれいな肌と髪。


「いくら私が全身白いからって紙はないでしょ!もぅ」


「俺たち初めましてですよね?言い方アレですけど、馴れ馴れしくありませんか」


 通っている高校では学年ごとに色が設定されており、男子ならネクタイに、女子ならリボンにとなっている。上から黒、白、青となっている。一年の俺は青いネクタイを着用している。

 

 目の前の人は白のリボンを着けているので一つ上の二年生だと分かる。。ちなみに服装は男子は黒メインの制服で女子は白メインのセーラー服になっている。


「君が言うことかな?初対面の、そ・れ・も、女の子に切り裂きたいだなんていう子に遠慮なんて言葉は必要かな。いや、要らないね!」


「まさか知ってますよね、先輩。敬語って尊敬してる人に使う言葉なんですよ。今の後輩に対する雑な態度からは尊敬できないです。よっては俺もいつも通り話すぞ」


「生意気な後輩ことで。君の不適切な発言を寛大な心で許してあげてるのに。でもそっちのほうがらしくていいね!似合わな過ぎて繕ってんのバレバレだったし」


 ハッ。笑わせてくれる。

 

 俺はガキじゃない。知らないだろ。かつては(夢の中)で異世界をカッターのみで完全攻略したんだぜ。その辺の一般人程度よゆーで倒せんだよ。ついでにそっちで数年過ごしたから精神年齢では上だ。

 

 残念だったな。ハーッハッハッハ!

 


「やけに既視感デジャヴがあるとは思ったけど、私の弟そっくりじゃん!今、中学生でさ。やけに大人ぶってたり、自分は全能ですーってやってんの。おまけに元をたどれば、その態度は自分が考えたカッコいいキャラだって言ってたの。そんなこと知っちゃったらさ、必死でなりっきてる姿見てたらすっごく微笑ましくて見守りたくなるんだよね~」


「だから俺も先輩の弟のようだと言いたいんですか」


「そだよー。そういうことしてる同士、気が合うだろうから家に遊びに来なよ。二人して痛い言葉連発して盛り上がってるの。見てるだけで満足するし」


「いえ、結構。喋ってる途中に言いたくなるほど嫌だね。先輩と似たようなのが最低でも二人以上いるところなんてごめんだな。あと日常生活では十分事足りてるから余計な世話好きは間に合ってる」


 じゃあな、先輩。そう言って全速力で走り出す。


「ちょっと⁉」 

 

 生産性のない会話をしてるほど暇ってわけじゃない。だから無理矢理断ち切る。そうでもしないと長くなりそうだ。

 願わくばまた次会うことがありませんように。















 放課後にて。


「あ、やっと来た。ずっと待ってたんだよ。朝、置き去りにしていったこと根に持ってるんだからね!」


 校門に仁王立ちして待っていた先輩がドヤ顔しながら言い放つ。


「・・・・・・・・」

 

 この先輩をいつの日か本っっ当に切り裂いてやりたい。そう思っても神様は許してくれるだろう。きっと

 

 

 

 

 

 





 

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