煽情のボーイズライフ ~私的BL読書歴~

シンカー・ワン

BLってなんだ?

 ハッキリと言っておく。

 テーマとかそういうの無いから。別にBLに思い入れとかないですからね。


 個人的なBL作品|(一部男色系)体験記。読書歴みたいなもん。

 私という人間が、どんなBL物に触れて来たかってだけの駄文です。

 そういう心構えでどうぞ。

 ま、期待なぞしないで読まれるがよろしい。


 

 ハッキリとしたBL物を読んだのは小学生の時。おそらく五年生。

 親戚の家に遊びに行って、そこで月刊だったか週刊だったかまでは覚えていないのだけど、「少女コミック(小学館刊)」を読んでると、好きな漫画ファラオの墓を描いていた作家さんの、奇妙な読みきり作品が載っていた。


 それは情事後と思われるシーンから始まっていた。ショッキングではあるが、その手の性的な描写は「セブンティーン(集英社刊)」に載っている漫画で履修済みだったから、それほど気にはならない。

 体躯の良い、乱暴そうな男が去った後、気だるげに身体起こしたのも男。

 いかにも少女漫画というような美麗な線で描かれてはいたが、身体のアウトラインは少女ではなく少年だった。


 ませた子供だった私であるが、さすがにこれには驚いた。

「え? つまり、こいつら男同士で訳?」

 そういう行為があることをなんとなく知ってはいたが、作品として目にしたのはそれが初めて。

 男性の同性愛、それを全年齢というより十代女子向けの雑誌に発表するというのが、どれほどの問題行為なのかを知らない私は、

「さすがは少女漫画、どっちが強いかばっかの少年漫画よりもずっと進んでいるなぁ」

 なんて、ピントのズレたことを考えておりましたとさ。


 それからしばらくして週刊少女コミック誌上で新しい連載漫画がスタート。

 作者は竹宮恵子先生。作品の名は『風と樹の詩』

 読み進めていくと何か覚えのあるシーンが。そこであの時の読み切りが連載になったのだとわかりました。

 あとは、もう言わなくてもいいでしょう?


『風と樹の詩』以前にも同性同士の妖しさをにおわせる作品はありました。

 竹宮先生の盟友にして永遠のライバルとも言うべき、萩尾望都先生の『トーマの心臓』や『ポーの一族』など。

 けれど、ハッキリと行為を描いたのは『風と樹の詩』が初めてだったのではないかしら?

 問題作でもある『風と樹の詩』がヒットしたことで、各出版社の少女漫画雑誌に同性愛を匂わせる、あるいはそのものな描写のある作品が掲載されるようになったのは皆さんご存じの通り。


 次に出会ったのが青池保子先生の『イヴの息子たち(秋田書店刊)』シリーズ。

 ……少女漫画の男性同性愛物と言えば線の細い少年たち、そんな風に思っていたことが私にもありました。

 今作は違う。男性漫画も斯くやな、がっしりした体格の成人男性が、同性に愛を囁き関係を求めるのです。


 青池先生の画力は、やわな少年漫画なんか軽くぶっ飛ばすほどのモノ。

 その画力で繰り広げられるのが、時と空間を超える歴史改変コメディ。これが面白くない訳がない。

 実際、この作品てタイムパラドクスSFとしても、かなり読ませます。

 青池先生には同性愛者の盗賊紳士を主人公にした『エロイカより愛をこめて』シリーズもあり。

 こちらも抜群に面白いから必読。


 あとは少し年代がさかのぼるけど、月刊少女コミックで活躍されていた、もとやま礼子先生の『墓場グループ』シリーズも。

 もとやま先生は少年漫画的な活きのいい線を描かれる方でして、墓場グループシリーズも昔気質の不良グループと同級生の少女が織りなす学園コメディです。

 ……なんでそんな普通の少女漫画を挙げた? とお思いでしょう。

 単行本のオマケページで、もとやま先生と同業の友人たちとが雑談しておりまして、友人のひとりが墓場グループを構成するメンバー、主人公、キザな優男、体育会系を指して、

「キザが "薔薇族" でしょ、体育会系が "さぶ" 、残った主人公は "アドン" じゃない?」

 と、言って一同大爆笑になるってのがありまして、作品の記憶は朧気なんですが、このオマケページが強く印象に残ってますの(笑)


 ……ご存じの方もおられることでしょう。

 薔薇族、さぶ、アドン。当時の三大男性同性愛雑誌の誌名です。

 墓場グループそのものは、そんな雰囲気の全然無い、懐かしい温かみのある、実に健全な少女漫画なんですけどね(苦笑)

 ある意味、風評被害(爆)


 くだんの三大男性同性愛雑誌、残念なことに薔薇族を除く二誌が廃刊しております。

 他にいくつもあった男性同性愛雑誌も現在ではほんの僅か……。

 ひとつの文化の衰退、悲しいことです。


 中学生になってから、親戚のお姉さんたちに新しい少女漫画雑誌を教えてもらう。

「すごく面白いよ」と勧められたのが、その雑誌に載っていた変な漫画。

 ベタが多用され細い線の描きこみびっしりで、絵面が暗いなぁと思ったその漫画、読んだらすごいどころじゃない面白さ。

 読みきりだったその漫画は人気のあまり連載となり、掲載場所を変えながら続いている。

 読みきり時のタイトルは『美少年殺しキラー』作者はミーちゃんこと魔夜峰夫先生。 

 連載タイトルは、さぁ皆さんご一緒にパパンがパン♪ 『パタリロ!(白泉社刊)』である。掲載誌は『花とゆめ』


『パタリロ!』の凄さは言うまでもないだろう。人気は沸騰しゴールデンタイムでのアニメ化も果たされた。

 美少年たちの声を女性声優(一部は男性)にやらせたり、行為の描写をごまかすなどして見事に乗り切ってる。

 ……いやさ、今考えてもすごいよね。木曜日の夜七時なんて時間帯に、同性愛が当たり前に出てくる作品を全国ネットで流していたんだから。

 しかも、ちゃんと人気作品に仕立ててる。放送時間変更があってもそれなりの視聴率とっていたとか。

 アニメ版で圧巻だったは、チーフデザイナー土田勇氏の手による原作そのまんまな背景美術。あれだけで魔夜先生作品だってわかるもの。

『パタリロ!』って、その手のシーンはわりと直接的で、ってのをハッキリと描写してる。

『パタリロ!』以外の魔夜先生の作品でも、挿入直前の場面描いてたりしてるし、口内愛撫なんか頻繁に出てくる。

 白泉社の大人女性向け雑誌で発表していた作品なんて、下品なくらいにホモセックス描写してたなぁ。

『翔んで埼玉』で人気が再燃したのは嬉しかった。あれも普通に同性間で恋愛してましたが(笑)


 あと同時期に白泉社の『LaLa』で連載されてた、木原敏江先生の『摩利と新吾』

 友情と愛情の狭間で悩む青春巨編で、そういう路線目指している方には勉強になるんじゃないかしら?

 大親友に友情以上の感情を抱いてしまう摩利、そんな摩利を狙う夢殿先輩。キャーッ、素敵、抱いて(爆)

 夢殿先輩については、『月刊OUT|(みのり書房)』で、アマ時代のゆうきまさみ先生が描いた『イデ〇ン』のパロデイでの印象が強い(爆)


 八十年代初期の問題作と言えば、秋里和国先生の『TOMOI』シリーズ(小学館・プチフラワーコミックス)でしょうか。

 当時、男性同性愛者にとって死の宣告も同然だったエイズをいち早く取り上げたり、同性愛者だからこそ突き当たるいくつもの問題をテーマにしていた連作。

 アフガン編で親しい者たちの死を目の当たりにして、絶望からの神への言葉「神よ、もう死んでもいいですか……」は、刺さりまくる。

 流行っているからって、ファッション感覚で同性愛を扱っていた者には、手厳しい一撃な作品。

 気になる方は本を探して読みましょう。


 他にこのころ読んだもので印象的だったのは、筒井康隆先生の短編小説『わが名はイサミ』かな。

 新選組の局長と副局長がそういう関係でドタバタしながら幕末を生きる話だったか。

「使いたかったら使ってもいいけど、下痢気味でなぁ、汚れるかもしれんぞ」てなセリフ吐いてて、それが頭に残ってます。

 この妙な生々しさがいいんだよね。



 んで、ちょうどこの辺り(七十年代末)で商業出版以外のものと出会うんですよ。

 そう、同人誌です。

 商業と言う枷の無い、ファンたちの妄想が渦巻く大魔界。


 中学のとき、とあるロボットアニメが放送されておりましてね。

 人気はそこそこあったんですが、視聴率が厳しいとか玩具の売れ行きが芳しくないとか様々な要因で結局放送期間短縮の憂き目に。

 番組終了数か月後の再放送と、新たに版権を取得した玩具メーカーの商品プラモデルがバカ売れしたことで、人気大爆発。

 一年後の春には劇場映画化まで果たし、映画三部作も大当たり。くだんの玩具メーカーはスポンサーを続け、あげくアニメ制作会社をグループ傘下に収めるまでにいたり現在まで続く長寿シリーズとなりました。

 えぇ、『ガ〇ダム』って言うんですけどね。


 で、それの本放送が終了したくらいから、一部の熱狂的なファンが己の妄想を形にして頒布するようになったんですよ。

 はい、同人誌薄い本です。

 どういう経緯だったかはもう忘れてしまったんですが、うちの姉が某有名サークルの頒布物を通販で手に入れまして、私もお零れにあずかりました。


 サークルの名は『シャ〇をネタに遊ぼう会』 

 頒布物は『〇ャア出世物語』シリーズ。挿絵有りの小説でした。何冊あったかは忘れた(爆)

 内容はタイトルの通り、例の赤い人が軍でのし上がっていく様を描く物語。

 サクセスストーリーと言えば、かっこいいんですが、その手段が、ね?(苦笑)


 察しのいい方はピンときたでしょう(爆)

 赤い人が文字通り使地位を得ていくのですよ。


 士官学校でガ〇マとを持ってザ〇家に近づき、キシ〇アを手籠めにして後ろ盾にし、あとは戦争で武勲を立てていく。

 ある種のピカレスクロマンでした。

 作者の方の筆力が高くて、グイッと読まされてしまうのですよ。

 その筆力で書かれた同性愛描写、ぐいぐい引き込まれましたねー。

 そこへ至るまでの描写がすごく活きていて、抵抗しつつも受け入れてしまうガル〇とか、そんなガ〇マを翻弄する赤い人のえげつなさとか、いやぁ、ええもん読ませていただきました(爆)


 ま、私はシャワーを浴びているキ〇リアを無理やり襲って、肉体をむさぼるシーンの方が好きでしたが(笑)

 だって、当時の私は中学生ですよ? いくら描写が上手かろうと、エロいシーンは男同士よか、女性相手の方が嬉しいに決まっているじゃないですか!(熱弁)


 このサークルは商業誌(みのり書房刊・月刊OUT)にも招かれて作品を提供していました。

 終戦後、ミ〇イと結ばれなかったブ〇イトが、同じくハ〇トとくっつかずアム〇からも離れたフ〇ゥと、ニャホニャホして二人でこの先も歩いていくお話とか。

 なぜか意思をもったゲル〇グが、ガ〇ダムに惚れてしまって攻撃できなくなりパイロットの赤い人を悩ます話とか。

 赤い人にそそのかされた部下たちに、ガ〇マが輪姦まわされちゃう話なんかが載せられてました。

 ……今考えても、十代からそれ以上を対象にしている雑誌に、あんなの載せてて大丈夫だったのかしら?(爆)

 おおらかな時代だったと言っておこう。


 挿絵担当してた人の漫画も載ってまして、ブ〇イトが赤い人に変装してジ〇ン内部に潜入するも、当たり前のようにガ〇マとニャホニャホ。

 その際仮面をとって素顔を晒すが、目が小さくなっていることを性病の一種なんだとか言ってガ〇マを脅したりとか、もう訳わからんギャグマンガでした(笑)

 あのころすでに、同人誌と言えばエロか同性愛って公式が出来上がっていたような(爆)


 後年、このサークルさんは同作品ガン〇ムの監督が手掛けた次作イデ〇ンも扱っていて、読者からのリクエストで敵からの寝返り者とリーダー格の絡みを書く際に「あんなにいい女たちがいるのに何が哀しゅうて男同士でやらにゃならん!」って名言を残されています(爆)


 魅力的な男性キャラにふさわしい女性キャラがいないから、相手を同性にするんだって矜持で同人誌を作られてまして、その制作姿勢にグッと来たものでした。

 この書き手さん、のちにその作品の "いい女同士" の絡みも書いているんですけどね。うん、実に濃厚でした(爆)


 基本的に同性愛的なモノは姉が持っているものを読ませてもらう形でしたので、この後はあまり触れることはなく、数年後私は就職して家を出ました。

 姉は現在もバリバリでBL的な作品を読んだり聞いたりしまくってます(笑)


 社会人になってから買っていた漫画系カルチャー誌がよく同人を取り上げてて、当時の流行などはそこで情報を得てました。

 この頃の同性愛物は『やおい』って呼ばれてましたねぇ。

 物語としての、ヤマ無し、オチ無し、イミなし。それぞれの頭文字からとってつけられた名称。

 あぁ、やおい私を責めないで(爆)


 ちょうどキャプ〇ン翼が大ブームのときで、いろんなカップリングがあった。

 トーホー学園勢はなぜか下克上が多くて、エースフォワードこじろーがガンガン掘られまくっていたなぁ(爆)

「痛がらせてるようじゃ、テクニシャンて言えないですからね」ってセリフを吐きながら、若〇津が〇次郎をいたぶるシーンが妙に頭に残っています(爆)


 そうそう、この辺りで『』って言葉を知ったんですよ。

 当時の同人で、男性同性愛物での行為の際、差し込まれている位置がおかしいって指摘があったり、そんなに簡単に入ったりはしないだろうとかの議論の末、男性同性愛物の受け側には、が備わっているという見解がなされる。

 蟻の門渡り辺りに存在する、男同士がスムーズに事をいたすための器官、すなわち『やおい穴』(爆)


 たぶん、性交渉とかの無い、もしくは疎い女性の同人作家さんが多くなったことで、そういう傾向のモノが広まったんじゃないかと思うんですけどね。

 男の身体の仕組みをよく知らないから、自分の身体に置き換えて考えてみた結果とか。

 ……あの時代の同人作家さんて、男も女も、異性と交遊関係のない方が圧倒的だった気が……。

 まぁ、今だって少なくはないでしょうけど。特に男性作家は(苦笑)


 でも、そういう『やおい穴』みたいなのが、男性同性愛物をファンタジー幻想譚として受け入れることができる土壌になっていたんじゃないかとも思うのですよ。

 リアルに考えなくてもいい、男同士の愛はもっとキラキラフワフワしたものでいい。

 生殖という生物的な枷から解き放たれ純粋に愛し合う者たちの世界は、同人女性にとっては理想郷そのものだったのかも。


 古代ギリシャの格言にこんなものがあるそうです。


『膣性交は生殖目的の動物的行為、肛門性交こそが快楽目的の真に人間的行為』


 ……名言ですねぇ(シミジミ)



 同人と商業のはざまみたいな描き下ろし作品で、スーパーロボット大戦物で有名な富〇原〇幸先生が別名義で執筆されてたのがありまして。

『世紀末同人誌伝説 』

 某 大打撃な刑事物アドベンチャーゲームのスピンオフ的なもので、同人界隈で起こった事件を担当する刑事がその真相に迫っていくって感じなんですが、行き過ぎた同人の闇みたいなものをカリカチュアした内容だったっけ。

 キャラクターが好きすぎて全身整形と性転換までしてそのキャラになろうとする同人作家。同じ志の仲間と一緒にキャラになりきって同人誌にあるような関係に浸るとか。

 肛門性交のやり過ぎで脱肛していて、常に手で抑えていないといけないとか、整形し過ぎて身体がボロボロになっていくとか、なかなかにえぐい描写があった。

 近所の本屋に置いてあって、立ち寄るたびに読み返していた。今になって考えると手に入れておけばよかったなぁ。



 同人から再び商業へ戻ります。


 九十年代の半ばから後半、一時ですが 『』 がアピールされたことがありました。

 その手の本がいくつか出たんですよ、男性向けの成人漫画の出版社から。男性向けを描かれている作者たちを使って。

 ま、いわゆる "ショタ物" をメインにしたのが大半でした。一冊持ってます。

 今考えても、あれは何だったのか? って気持ちです。あまりにも一過性でしたから。

 潜在的な需要を作るためだったのかもと、考えもしますが真実はいかに?(苦笑)


 この時期に読んだので、きつい内容だけど目が離せなかったのが、しのざき嶺先生の『BLUE HEAVEN』

 トランスレイト物、なのかな? 少年が怪しげな薬打たれて肉体も精神も女性化していくってお話。

 女性化していく過程で男と関係を持つんですが、感じてしまうのは薬のせいなのか、それとも自身が望んでなのか?

 変態的なエロティシズムの中で、哲学的な表現の出てくる、いろいろと考えさせられる作品でしたねぇ。

 同系統の作品でプロトタイプともいえる『もう誰も愛せない』も刺激的です。

 しのざき先生、上記の男性向け男性同性愛物雑誌にも描かれていて、幼き日の信長と家康の純愛物語でした。内容もきっちりとまとまってて、なおかつ実用に耐える作りでさすがベテランって出来でしたね。


 もひとつ印象深い存在と言えば、奇才・安永航一郎先生が『コミック電撃大王|(メディアワークス)』で連載していた『超感覚ANALマン』ですなぁ。

 どんな内容かはタイトルで一目瞭然|(爆)

 当時流行していた映画や漫画、ゲームなんかを、アナルや肛門、同性愛やゲイとかに絡めたパロディで作り上げられたケッ作。

 単行本の二巻が出るのずっと待っているんですけどね、一巻から二十年以上経っているけど、いまだ出る気配がない(苦笑)

 主人公のライバルと言うか、将来結ばれる相手らしい東洋一の男色王・後方不敗の圧倒的な存在感たるや!

 初登場回で撃退されるも、その後名を変え姿を変え、ANALマンの前に立ち塞がる雄姿と言ったら。

 全ての男性同性愛に通ず「掘れば極楽、掘られりゃ地獄。同じホモなら掘らなきゃ損々」の名乗りのカッコ良さよ。

 安永先生の特徴でもある、すね毛だらけの男どもで描写される少年愛風な世界、あの破壊力は一見の価値あり!(爆)

 個人的にはチョーお薦め(自爆)


 おお、そうそ。八十年代半ばから九十年代にかけて旋風を巻き起こし、いまだシリーズ終了の兆しが見えない、菊地秀行先生の『魔界都市ブルース(祥伝社・刊)』シリーズを忘れるところでした。

 シリーズ初の長編として刊行された『魔王伝』において、魔界医師メフィストへの礼として、浪蘭幻十がになるシーンは、その筋の方々が歓喜の悲鳴を上げまくりましたなぁ(爆)

 菊地先生の別のシリーズ柳生刑部の一編に、両性具有の登場人物とのまぐわいがありましたが、その人物の口述で、自分を抱く者は獣のように後ろからする者ばかりなのに、刑部は正面から抱いてくれて嬉しかった。ってのがありまして、妙にロマンティックに感じたものです。


 世紀が変わる前だったか、自分から望んで男性同性愛の小説買いました。

 作者買いしたんだったかな? 男性成人向けのも書かれていて、それが面白かったから、手を出したような記憶が。

 内容もちょっと変わってて面白かったですね。ノンケがノンケに惚れて恋人同士になる話。

 作者は松永也槻先生。作品名は『絵に描いたみたい』

 別のペンネームで漫画も描かれてて、実はそっちの方が大好きなんです(苦笑)


 これ以降は、その手の作品を読むことは、ほとんどなくなりました。

 許容はしているが、自分から進んで読みに行くことはないって状態ですね。


 ここまで読まれてきて、疑問を持たれた方もいるかもしれません。

 一応物書きの端くれな私の、男性同性愛物執筆経験の有無を。

 答えはイエスで、二作ほどあります。

 高校生の時、ゲイで元軍人の探偵ってキャラを作ったことがあります。

 これは女性に言い寄られても「ゲイだからダメなんだ」ってシーンを作るための設定で、実際にそのキャラが男とどうこうしてる描写はありませんでした。

 作中でゲストヒロインに惚れられるんですが、上記の理由で結ばれることはなかったけど、ゲストヒロインが探偵の相棒(女性)に身を任せ、その相棒がヒロインに頼まれたからと、探偵と代理性交するってこんがらがった描写をやりました。

 なに考えてたんだろ、高校生の時の私?(爆)

 ……果たしてこれ、同性愛ものと言えるのだろーか? 謎だ。


 もうひとつ、知り合いの同人サークル主催者さんにプレゼントするために書いたやつ。二十代半ばのころで、これはガチで書いてました。

 その方が出していた同人誌の男性キャラを使った二次創作。……いや、ソード〇ールドのファンジンだったから、三次創作かな?(笑)

 友人同士の片割れが邪な想いでノンケな友人に薬を盛り、無理やり想いを遂げるような内容でした。

 もちろん行為に及ぶ描写に省略は無し。

 尻の谷を割って強直をねじ込み、貫かれた側が絶叫を上げるとか、当時持ってる知識フル活用で書きましたねー。

 送った相手は当時まだ未成年でその手の作品への免疫がなかったため、感想は「すごかった」くらいでした(笑)

 ちなみにこの方、数年後、大手ソフトメーカーの女性向け十八禁ゲームのシナリオを書かれてたりします(爆)

 まさかそっちの方向へ行っちゃうとは、当時は全然思いませんでしたわ。



 ……そもそも『BL物』とは何ぞや?

 某所での記述によると「日本における男性(少年)同士の同性愛(ゲイ)を題材とした小説や漫画などのジャンルのことで、1990年代中盤から後半に使用されるようになった用語」だそうです。


 つまり男色ですな。もっとハッキリ言えば衆道、ホモセクシャル。

 男と男が絡み合うような内容だと、なぜ言わない? 

 綺麗な言い方でごまかしているから解り辛くなる。書き手も困る。

 

 も不明。

 R18は不可、ならばR15はOK。では、そのR15はどこまで許容されるのか? 

 R15はR15なのか?

 投稿サイトごとにレーティングが違うから迷うのよね。

 某最大手サイトは現在の少年漫画レベルでの破廉恥描写すら許してもらえなかったりする。ただしランキング上位の一部作品は除く(嘲笑)

 せめて、現行少女漫画のラインくらいまで許してもらえると嬉しい書き手も多いだろうね。


 サイト側から示唆された情報は圧倒的に少ない。

 投稿者の常識に委ねるというのなら、それは間違いだ。常識なんて個人個人で結構違うものだから。

 関東と関西でうどんの汁の濃さが違うのを、知らぬわけではあるまいに。


 だから、センシティブな内容に触れるものには、明確な指針を示してほしいわけ。

 そのものズバリな性交シーンがダメなのはわかりきっている。

 キスは大丈夫とか、服の上からのお触り程度は許容とか、ハッキリしといてほしいのよ。

 それだけでどのくらいの執筆者が助かることか。


 で、もうひとつ問題。『何をもってBLとするのか?』

 明確な恋愛感情の発露は問題ないだろう。LIKEじゃない、LOVEだ。

 誰かに向ける特別な感情?「好きってことさ」それは友情とは違うものなのか? 今はブロマンスなんて区別もあったりするんでしょ?

 それぞれのセクション同士で火花散らしてそうで、迂闊に触れられません(苦笑)


「百合」のようにある程度想像しやすい関係と違って「BL」は実に難しい。

 女子同士の触れ合いと男子同士のそれは違う。似て非なるものなのだ。

 女性は「百合」も「BL」も受け入れやすいけど、男性に「BL」はハードル高いのよ。

 同性ゆえに、まず生々しさが立つ(爆)

「百合」とは土壌が違い過ぎるのだ「BL」は。


 同性愛物に触れる機会、女性は少女漫画などでかなり早い段階にあるけれど、男性は自ら求めていかないと機会はほぼない。

 少年誌にはヘテロなエロは提供されても、同性愛的なものはほぼ無いからね。

 ……まぁ、主人公が女装少年にドギマギするなんてジャンプ漫画もあったりしましたが、あれは特殊な例(苦笑)


 匂わせるように仕組まれていても、それに気が付くのはもっぱら女性読者で、男性読者では一部の勘のいい者とその手の性的傾向保持者くらいしか読み取れはしないのだ。

 

 男はね、男が大嫌いなの。

 種を残そうとする本能がそうさせるのよ。

 肉食野生動物の群れを見なさいよ。オス一頭に対してメス数頭と子供達で形成されて、しかも、子のオスが成長したら群れから追い出すでしょ?

 ……そう考えると異世界転生ハーレム物って、見事に野生動物の本能を踏襲しとるな(爆)


 今はアニメで「百合っぽい」作品が多く製作され、男性読者や執筆者にもそれら作品のファンがいて、百合に対してはかなり寛容な空気がある。

 むしろ、あの手の作品から。と、声を上げるの多さよ(笑)


 対して、女性向けイケメンキャラが大勢出るだけの「BLっぽい」雰囲気、空気感のあるアニメ作品を、どれだけの男性が視聴している事か?

 男性視聴者の多くが見もしないで心の中で言う「ホモアニメ、キメえ」と。作品にそんな要素が無くても、だ。

 ……「百合アニメ」に蕩けてる自分たちの顔、鏡に映して見てみたら?(嘲笑)

「百合アニメ」は愛でながら「BLアニメ」を唾棄する。寛容性のない男性視聴者のなんと滑稽なことよ。


 でもさぁ、これだけ情報が氾濫してて多様性(笑)が認められている時代に、「BL」が見れない読めない書けないってのも、恥ずかしい話だよね。

 そう、結局のところ「」が全てなんだよな。

 自分がそういうものを書くのが、書いたものを読まれるのが「

 苦手はしようがない。書きにくいジャンルは誰だってある。

 けど、ってだけで、ってことじゃないんだよ。

 試してみた? 試しもないでそんなこと言うのは「」と思わない?

 苦手な物書いて、それを読まれるのが「」だけじゃない?

 全部そこへ行きつく訳だ。

 で、私はそういう方たちに何度でも言う。

「妄想のかたまりな小説を書き、投稿サイトに上げて全世界にさらしといて、いまさら何が恥ずかしい?(笑)」



 もういいかな? このくらいの分量があれば。

 乱雑だけど、いくらかの読みごたえはあるはず。


 個人の回想と愚痴と毒吐きに付き合ってくださり、感謝です。

 では皆さまの素晴らしきBLライフを祈りつつ、筆を止めましょう。


 ご清聴ありがとうございました。

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