第三話 賑やかな昼休み

 二限が終わり、昼休みとなった。俺はいつも通りカナタとトーマと一緒に食堂へと向かった。

「マヒロっていっつもそれ頼むよな」

「いいだろ、これが一番お気に入りなんだから。」

 そう言って俺はカツカレーを頼んだ。

「しかもそういうお前らもいつもと一緒じゃん。」

 カナタはカツ丼を、トーマは醤油ラーメンを頼んだ。そしていつもの席へと向かう。

「そういえばさ、M言語の課題どうよ?」

「全然進まないね、何となくのイメージは頭の中にあるんだけど、どうしても言語化してコードにするのに苦労してる。」

 法専は一年生の段階から選択制で魔法式構築の基礎となるM言語を学ぶことが出来る。

「今何の術式書いてんだ?」

「精神干渉系の闇属性と氷属性の複合魔術を考えてる。」

「それって実用可能なのか?」

「いや、現状の装備と能力じゃ発動どころか構築も無理だと思う。それにリスクも高すぎるしね。」

 法専では、魔法に関することに幅広く対応しており、予約制とはなるが、魔法構築に関する施設の貸出も行われている。

「まぁ、そんなこったで理論上の組み立てだけしてるって感じだな。」

「へぇ、実に面白そうな話をしているじゃないか。」

「げっ、今日も来たのかよ。」

 トーマがこういう反応になるのも仕方がない。なぜならその来た人物がジャディ・ファウストだからだ。

「俺的にはあんまり近くに来て欲しくないんだよ。お前と一緒にいると目立つしさ。」

「トーマ、そんなに言わなくてもいいじゃないか。僕は仲良くしたいんだよ。」

 そんな回答をしているとさらに目立つ人物が来た。

「そうは言っても仕方がないと思うぞ。貴様は仮にも皇太子殿下なのだからな。」

「おいおい、マフユちゃんまで来たよ」

「私一人ではないぞ」

 そうしてさらに後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

「マヒロくん、席ご一緒してもいいかな?」

「リーナか。俺は別に構わないが、トーマ的には目立つから嫌みたいだが。」

「いや彼女なら問題ないよ」

 結局最初は三人で食べていたはずが気づいたらジャディ、マフユ、リーナが増えて六人になった。

「で、マヒロ。さっき言ってた構築中の複合魔法はなんなんだ、私はまだ複合魔法は理論の話すらしてないはずだぞ。」

「独学でコードの構築だけしたんですよ。まだ当分は実戦投入できませんって。」

「まぁ、魔法を作るために熱心になるのはいいが、あまり変な方向に行くなよ。誰も手を付けられなくなるからな。」

「わかりました。留意します。」

 そんなこんなでようやく落ち着けるかと思ったその瞬間、遠くからジャディの名を呼びながら近づいてきた人物がいた。

「ジャディ殿。私を撒いて逃げるのはおやめ下さいと何度言ったらわかるんですか。」

 そう言ってきたのはジャディの自称付き人をしているルナ・ドリアードだ。

「いいじゃん、だってルナといると堅苦しいんだもん。」

「仮にも皇太子なんですから、日頃から意識して生活してください。こんな人達と暇してる時間なんかないんですから。」

「ルナ、お前の言い方っていちいち癪に障るんだけど、どうにかなんねぇのかよ。」

「マヒロさん。あいにく私はあなたたちのことなんか一切興味ないので。」

「へー、いい度胸じゃん、今度ボコしてあげるけど、そんときになって泣くなよ」

「安心してくださいそんなことは万一にも起きないのででは失礼します。ジャディ、行きますよ。」

 そう言ってルナはジャディそ連れていった。

「やっぱアイツ、ムカつくやつだな。」

「まぁマヒロ、そのへんにしておけ。それよりあと十分で授業始まるからな。遅れないようにしろよ。」

「了解、マフユちゃん」

 そう言って俺らはそれぞれ教室に戻って行った。

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