17 第一回ハーレム計画会議(2)
「目星……」
ライトが呆れたような視線を向けた。
「2人目は、スレイマン伯爵の息子」
「スレイマン伯爵の?……確かに、甘い顔立ちだって女の子に人気だね」
「そうなの!」
アリアナが嬉しそうにしたので、ライトは作り笑いで返す。
「ああいうのが好みなの?」
「好み?」
アリアナは、ふっと視線を上にあげた。
スレイマン……。
スレイマン……。
一体どんな顔をしてたかしら。
アカデミーでは関わりないし、パーティーで少し会うだけだものね。
結局思い出せないまま、アリアナは気を取り直して言う。
「スレイマン伯爵夫人はね、社交界の中心人物なの。今の流行を作っている方なのよ」
「ん?えっと……なるほど?」
「3人目は、タイリウ商会、長男」
「ああ、何考えてるのかわからないあの……?」
「そこがいいって、女の子達の間で話題なの。それにタイリウ商会の道路網といったら」
「魅力が道路網……?えっと、平民も居るんだね」
「ええ!アカデミーでは、優秀なら平民でも入れるでしょう?学園長も元平民だし」
「じゃあ、学園長の息子さんも、ハーレムに入れたいのかな」
「そうなの!」
「そうなんだ」
ライトの顔は、すっかり貼り付けたような作り笑いのままになった。
「それにあと、騎士と魔術師」
「ここは騎士の家だろ?騎士っていうと……」
言いながら、ライトの顔が強張る。
「兄の友人に目をつけてるの」
「そう、なんだ」
「何人か候補はいるんだけど。まだ決まってないの。ここは騎士が沢山居るでしょう?目移りしちゃって」
「魔術師は、……やっぱり、ルーファウス?」
「え?」
ライトは、今にも倒れそうな心持ちでアリアナを見ていた。
アリアナは、自分の計画に必死で、そこまで見えていないようだ。
アリアナは、自然な笑顔だった。
「レイノルド・ルーファウス。魔術師の中では、一番だろ?」
「あなた、目の付け所がいいわね!」
「じゃあ……」
「でも違うわ!私が目をつけているのはね、その付き人のアルノーよ。侯爵家の令息。魔術の腕も、なかなかいいと聞くわ」
「そう……なんだ……?」
もう、ライトの瞳には、絶望しか映ってはいなかった。
「そんなわけで、これからよろしくね」
「は?」
ライトが顔を上げると、アリアナのいい顔が目に入った。
「どういう意味?」
「あなたは、私の計画を知ってしまったわ」
「君が勝手に話したんじゃないか」
「もう、あなたには、私を手伝う以外に道はないわ」
「こんな計画、手伝うなんて……」
アリアナは、じっと真っ直ぐに、ライトの顔を見た。
ライトは、一つため息を吐いた。
放っておいてもこの計画はアリアナ一人で進んでしまうのだろう。
それならばいっそ、近くで見ている方がいい。
確かに、アリアナの言う通り、このハーレム計画を応援するしか、道はないようだった。
「わかったよ」
降参、といった感じで、ライトが両手を上げる。
「じゃ、またここに寄ってね。暇な時でいいわ」
アリアナが、とてもいい笑顔で笑った。
◇◇◇◇◇
次回、18話までプロローグ、という体でいきたいと思います!
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