実際にあった心霊現象

静嶺 伊寿実

第1話 駅の階段にて

 駅への階段を降りていると、前方に30代くらいのお母さんと、4〜5歳の女の子がいました。

 お母さんはパーカーにズボンの軽装で、女の子は子どもリュックを背負ってました。

 2人は手を繋がず、ゆっくりと降りて行きます。


 これからどこかにお出かけだろうか。

 ほほえましい光景だな、なんて見ておりました。


 私が階段を降り切った時、まだあの親子がいるかな、切符でも買っているかなと、辺りを見回しましたが、駅の改札には誰も居なかったのです。

 おかしい。

 あの距離感なら、せめて改札周りにいるはずなのに。


 一緒に階段を降りていた夫に、

「先に階段を降りた小さな女の子の親子がいなかった?」

と尋ねると夫は即座に答えました。

「やめろよ。階段には誰もいなかったよ」

 夫は少し青ざめてました。


 終わり。

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