推しえ子は転校生
なべたべたい
第1話転校生それ即ちラブコメの始まり
2022年5月○日
ゴールデンウィークが終わり数日後、俺が通っている高校に転校生がやって来た。
朝学校に着き自分のクラスへと向かい扉を開くと、何やら教室内がいつも以上に騒がしかった。
何故今教室がこんなに騒がしいのかと思ったが、それを聞ける友達もいなかった俺は、周りのクラスメイト達の話し声に耳を立てると、その内容は転校生についての話であった。
転校生か〜どんな人が来るんだろう。
そんな事を顔を机に伏せながら考えていると時間はあっという間に過ぎ、担任の先生が教室へと入ってきた。
「おーいお前ら、すでに知ってるかもしれんが今日はうちのクラスに転校生がやって来たぞ」
そう担任が言った次の瞬間教室内が大いに盛り上がった。
「先生ー!もしかして女の子ですか?」
「ねーねーもしイケメンだったらどうしよー!」
「どんな人なんだろ〜」
「おらお前らうっさいぞー。それじゃあ天童寺さん入ってきてくれ」
「はい」
そう担任が生徒達を鎮めると、件の転校生の名前を呼んだ。
そしてそれに応える様に透き通る様な声が返ってきた。
ガラガラと音を立てながら教室の扉が開くとそこには、雪の様に綺麗な白髪と海の様な碧眼の美少女、そしてそれに見合うスタイルを持ち合わせた女性がそこに居た。
「初めまして天童寺真白です。みなさんよろしくお願いします」
そう言って真白がぺこりと頭を下げた次の瞬間、教室内の特に男子生徒達が大いに湧き上がった。
もちろん声には出していなかったが、そんな美少女と同じクラスメイトになれたことに、俺もクラスメイト達同様に内心ガッツポーズをした。
「それじゃあ天童寺の席は……1番後ろの席が空いてるからそこに座ってくれ」
「はいわかりました」
そう言って真白が自分の席へと向かう途中に俺の座っている席を横切るのだが、その際に一瞬だけ俺と真白さんの目が合ったような気がした。
そう目が合ったような"気がした"だけである。
これから先、涙あり笑いありもしかしたらラブコメ的な要素もあるかも知れない、楽しい楽しい学園生活が始まると思っていたのだが、
それから結局俺は真白さんと一言も話す事なく、あっという間に時間が過ぎ夏休みに突入した。
「……………………あれ〜?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます