第273話 クウちゃん、受肉降臨。
で、魔王の話はどうなった?
金属タライたくさん落としてごまかそうとしてるんじゃないよな?
『つまるところ、ミニ魔王やちび魔王があちこちに出現するってことなのよ!』
つまり?
『そうよ! あちこちにいるプチ魔王を倒すために、シンジは新たなチカラを得なければならないのよー!』
「そうか、で、オレがやるべきことというのはその新たなチカラを得ることなんだな?」
『はい! 二分の一正解! シンジ
二分の一かよ! あーもう、何でこいつと話すとこんなに面倒くさいんだ!
「残りの超特急のひとつはなんなんだ?!」
『あー、シンジ~、やっぱり忘れてるうー!』
なんだその誕生日を忘れられたキャバ嬢みたいなしゃべり方は!
『約束したじゃない! わたしが受肉するための依り代探しておいてって!』
いや、約束はしてないぞ?
それに、若い女性の新鮮な死体なんて探せるわけねえじゃねえか!
『それでね、どうせシンジは約束忘れちゃうと思ったから、わたしが準備していたのよ!』
すんごく嫌な予感がしてきたんだが!?
「で、オレになにをどうしろと……」
『えっとね、お買い物ー!』
「おかい……もの?」
『そうよー! んーとね! ぱいぱい開いて!』
は?
ああ、そういえば。
こいつ、異世界でも地球の物をお買い物できるように軽トラにアプリを実装してくれたんだっけな。まあ、実際にインストールしてくれたのは優秀な部下さんだったようだが。
で、そのアプリの名前がぱいぱい。payp〇yをパクった名前だな。
『えーと、アプリ開いたらー、ラ〇ドールの商品ページに行ってー、」
おいおい、何を言っているんだこの駄女神は。
オレがそんな大人のグッズを買うわけがないじゃないか。
『むー、やっぱりシンジは言うこと聞いてくれないのねー。じゃあいいわ! ライムちゃんの身体借りるわね!』
えっ!
まさか、こいつこの世に受肉するためにライムの体を乗っ取ろうとしてるんじゃないだろうな!
やめてくれー! ライムはオレの心のオアシスなんだ! そんな純真無垢なライムの中身がとんでもない駄女神に変わるなんて耐えられない! 神は死んだのか!? いや、こいつも女神だったー! 死ぬどころかオレの心のよりどころを乗っ取ってまで生きようとしているぅー!
『シンジ? ずいぶん必死に拒否っているようだけど、女神の名のもとに宣言するわ! この運命は変えられないのよ!』
いらんときだけ神属性出すんじゃねえ! ああ! ライムぅぅぅぁぁぁぁぁぁ!!
そのとき、ライムの体がぷるぷると震え出した!
やめてくれ~~~~~~!
そして、触手? を伸ばして、お買い物アプリのタッチパネルを操作している!
へっ? 身体借りるって、こういう事?
そして、きらびやかな光と共に、等身大、実物に近い質感! 音声機能付き! 三〇悠亜モデルと書かれた箱に入った一体のラブ〇ールが現れる!
こいつ、買いやがった!
『シンジへの罰としてー、この購入明細の送付先は地球の自宅にしておいたわ!』
最悪じゃねえか!
『あ、でも、このことは地球の奥さんや子供達も了承済みだからね~! さすがに、人のお金を勝手に使うのは気が引けたから事前に許可をもらっておいたの!」
すでに最悪だった!
すると、きらびやかな光はさらに輝きを増し、箱の中から等身大のラブドー〇が飛び出てくる!
「時空の女神様、降臨よ!」
ふと周りを見渡すと、トラニャリス女王陛下をはじめ、いつのまにか集まっていた獣人たちがクウちゃんにむかって平伏しているじゃないですか!
そういえば、クウちゃんの圧が強すぎてこの女王様の存在を忘れていたよ。
「「「「「おおおおおおお! 神よ!!!!!」」」」」
いや、みんな騙されないで?
それ、素っ裸の〇ブドールだからね? 威厳もクソもないからね?
そして、一人立ち上がったトラニャリス女王がスススとクウちゃんに近寄り、御召物を羽織らせる。って、ヒョウ柄はやめなさい。すっぽんぽんのAV女優ベースの身体にヒョウ柄のコートは変な意味で似合っちゃうから!
「さあシンジ、状況は整ったわ! さっそくこの世界にわたしたちの愛を遍く行き届かせるのよ!」
「いや、間に合ってます」
「こらー!」
と、いろいろなドタバタの末、とうとうクウちゃんがこの異世界に受肉降臨してしまった。
ちなみに、受肉後のラブド〇ルさんはとっても肉感たっぷりで本物の人間のようになっていた。
あ、すっぽんぽんにヒョウ柄のコートのままだとさすがにまずいので、きちんとお買い物アプリで地球から服とかパンツとかブラジャーとか買いました。しま〇らからね。
どうして人形に受肉したのか聞くと、クウちゃん曰く、この日のために地球の某警察署交通課のダミー人形に乗り移って人形操法を完璧に覚えてきたのだとか。
毎日警察官と訓練を重ねて柔剣道5段、逮捕術上段の動きができるようになったんだてさ。
その警察署の皆さんは大変だったんだろうな~。
「さあシンジ! 寝技の特訓よ!」
「剣道の方でお願いします」
「シンジ? 棒を使うのね?!」
「もうやだこの
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