第252話 お金塗れ。
さて。
どうやら我が家は熊岱市のダンジョンを購入、保有管理する方向性は覆らないようである。
ということで、陽介君たちとパーティーを組んだ後、購入代金やその他もろもろの入用なもののために丸2日間ほど金策&レベリングに勤しんだ。
主に2階ボスの大オークを周回していたのだが、その結果が結構なとんでもないことになっている。
先にレベルの話をしておくと、今回のレベリングでさらに全員が2つほどアップした。
レベルが上がるにつれ徐々にレベルの上る速度も遅くなってきたのだが、それでも1日に1づつ上げることが出来た。
いくら軽トラの恩恵で取得経験値が多いとはいえ、こんなに早くマスタークラスになってしまっていいものだろうかという後ろめたさが心をよぎる。
だって、探索者になってまだ3か月しか経ってないんだぜ?
軽トラの異質化とか、美剣のこととかいろいろ各方面にバレてはいるから大事にはならないことは確かなんだが、他の真面目にやっている探索者とか、自衛隊の攻略部隊の人たちとかは絶対いい思いはしないと思うんだ。
だから、あんまり大っぴらな行動は避けたほうがいいとは思うんだけど、ダンジョン経営に前向きな流れは変えられないだろう。
まあ、出来るだけ慎ましくやるようにしよう。
ちなみに、オレは新しいスキルを覚えた。
え? 何のスキルかって?
ふふふ……
オレの職業は何だと思っている?
『
戦って回復も出来るんだぜ?
これまではポーションでしか治せなかった毒とかの状態異常を治す魔法、『
一家に1台! パーティーに一人!
『
「あれっ? 確か軽トラの荷台のヒーリング効果で状態異常も治りませんでしたっけ?」
「……」
そうか……やっぱりオレは存在自体が軽トラの下位互換で死にスキルなのか……
「あ、でも、軽トラの荷台はあれじゃないですか!? 完治までにはけっこうな時間経過が必要ですよね? だったら一瞬で治してしまう先輩の回復スキルってすごいですよ!?」
以前カエルから毒を食らった時には検証不足でわからなかったんだが、そののち時間経過で毒なども治ることが判明したのだ。
マナミサン。疑問符交じりのナイスフォローをありがとう……
「にゃー……」
……話を戻そう。
ドロップ品の件だ。
なにしろ、オレたちはレベルが上がったので2階のボスと言えどもほぼ瞬殺だ。
そして、大きなトリュフを掲げると即リポップする。
だから、殲滅、周回速度がとんでもなく早い。
たかが2日間とは言えとってもたくさん倒してしまったのだ。
それで集まったドロップ品だが、大オークの魔石が税を差っ引いての売却価格がひとつ1万6千円。
それがなんと862個。
1,379万2千円だぜ?
この魔石だけでも1千万越えちゃうんだ。
他にも、いかにもお高く売れそうな大オークの睾丸様が246対(492タマ)。
まだ査定に出してないから値段はわからないけれど、けっこうとんでもない額を叩き出しそうで怖い。
さらには、数は少ないがこれまたお高く売れそうな灰色大狼の牙やら爪やらもあるのだ。
これだけ持ち込んで、探索者支援センターの財政は大丈夫かな?
全国規模なら全然大丈夫そうだが、果たして田舎の晴田県支部の支払い能力で足りるものなのか。
まあ、そこまでこっちが気にしなくてもいいか。なるようになるだろう。
あ、ドロップ品と言えば、陽介君たちのことだけど、どうやら昨日晴田市の探索者センターにこれまでのドロップ品を売りに行ったらしい。
さすがに売却益がいくらになったのかまでは聞いていないが、結構な額になったようで3人が3人とも惚けたような顔で帰ってきていた。
陽介君曰く「こんな大金初めて見ました……」とのこと。
そして、彼らの手には新しい武器が。
まずは美夏ちゃん。
最大12連射できるボウガンを手に入れていた。
小型で取り回しがいい分、一射あたりの威力はそれほどでもなさそうだがこれで、隠れながらのボウガン連射はなかなか有効そうだ。
しかも、『
陽介君がタゲを取っている間に殲滅し放題だな。
で、その陽介君だが。
何ということでしょう。
手ぶらだった。
というのも、特殊な武器をオーダーメイドしてきたみたいでまだ手元には届いていないのだとか。
その完成予想図を見せてもらったが、なかなか厨二心をくすぐられるようなかっこよさであった。
なんと、盾と弓が一体化した武器なんだそうな。
盾の取っ手の部分を左手で握り、その握りの部分に弓の弦がくっついている形で、見た目は盾の裏に弓本体が重なっているような感じだ。
で、盾の透明なのぞき窓の下に横からの切れ込みがあり、そこから弓矢をつがえて撃ち込むという感じで運用するらしい。
盾の下部には地面に突き刺さるスパイクがあり、地面に固定しての防御はもちろん、弓を固定しての
それ、オレも欲しいな。
で、御園さんの武器はと言えば予算オーバーで次回に持ち越しだとか。
今回大金が稼げたから、次も軍資金はすぐに貯まるからと不満はない様子。
というか、陽介君の盾弓がかなりのお値段で手付金しか払えなかったとのことで今日も金策でダンジョンに潜っている。
さて、オレたちも探索者センターに出掛けるか。
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