第175話 れべらっぷ20→23

 軽トラに新たに生えた新スキル、『軽トラパリィ』によって、辺境伯軍100名との模擬戦に勝利することが出来た。


 よし、このスキルがあれば、来たる王都軍との決戦の時にも相手の精神操作されていると思われる兵士たちの命を奪わずに戦うことが出来る!


 そして、我に返るとパリィされた辺境伯軍の兵士の皆さんが次々と立ち上がる。よかった、けが人はいないみたいだな。




「王都の軍勢は、少なくとも3千人、最大で1万人ほどの動員が可能と聞いています。それに対し、我が辺境伯軍はここにいる精鋭100人を筆頭に、最大で2千人ほど。ですが、この魔道具軽トラがあれば、戦況をひっくり返すことは十分可能です!」


 指揮官のウォルフさんが熱く語ってくる。



 それに続いて辺境伯ミシェル様も、


「婿殿、これで勝利の目途が立ちましたな。あとは、戦いに勝利した後の戦後処理の事に頭を割くことができます。」




 そうだな。王都軍を撃退できたとしても、残るは国の重鎮と、黒幕であるコウリ教教会。


 おそらくは、闇の勢力とやらがコウリ教会とやらを操って、操られたそいつらがさらに国の中枢部を操っているのだと思われるが、その精神操作なり、洗脳なりを解かなければこの国は元の正常な状態には戻らないだろう。


 軽トラパリィの衝撃でも、軽い精神操作なら解除できるかもしれないが、本格的な解除となると……。やはり精神操作系の魔法に長けた人物……。



 ん? なんか今、心ににひっかかるものがあったような気がするのだが、何だったろうか……。










◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






 それはそれとして、この模擬戦で軽トラのレベルが上がっていた。


 なんと、3つも上がって20→23になっていたのである。おそらくは羊たちが模擬戦をしたことで、その経験が流れ込んで一つ、模擬戦二回で二つ上がったのだろう。


 SPスキルポイントは、8,8,9と手に入り、25ポイント。残っていたポイントと合算して、合計46ポイントになった。


 おお、レベルアップにつれて、取得できるSPが増えてきたな。


 なんか。高次元のあの人は軽トラレベルのカンストが99とかのたまってたけど、この分だとカンストまでに時空魔法レベル10がコンプリート出来そうで何よりだ。



 で、時空魔法だが、4まで上げることは可能なのだが、例によってバッファ確保のため今はまだ保留とする。


 レベル3で大幅な空間の拡張があったのだから、今度はレベル4で時間に関する何かの効果がありそうではあるのだが。


 まあ、とにかく模擬戦も終わり、あたらしいスキルも手に入ったし、軽トラのレベルも上がった。


 ここは、辺境伯様や辺境伯軍の皆様と屋台パーティーでの宴会の流れだな!






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







「はっはっは! 婿殿! 今日は楽しい日ですなあ!」


 ミシェル様がご機嫌だ。というのも、今は『軽トラキッチンカー』を発動させて宴会の真っ最中なのだ。

 

 ちなみに、前回の『時空魔法』のレベルアップのせいか、キッチンカーは内部空間がだいぶ広がり、まるで試される大地の県庁所在地にある某ビール園のような様相になっていた。テーブルごとに鉄板もあるから、肉や野菜などがあれば、給仕さんもいらないしね。



 だが、ここで大きな問題点が勃発した。

 


 この某ビール園。名物料理はジンギスカン。そう、羊肉だったのだ!


 そのことを察してしまった魔羊達は慌てふためき、何かを相談した後は自分たちみずから、しくしくと涙を流し、まな板の上に乗る始末。



 おおい! そこまでしなくていんだよお!!


 お前たちを食べるなんて、そんな事出来るわけないだろうが!




 羊たちの健気さに涙したオレ達は、今後キッチンカーでの羊肉の扱いを永遠にやめることを誓ったのであった。


 羊は食べてはいけません!





 と、まあ羊たちの騒動がひと段落した後は、皆で仲良くヤキニクパーティーだ。


 明るさを取り戻した羊たちと、辺境伯軍の皆さんがワイワイ親睦を深めている。前から思ってたけど、なんで意思の疎通ができるのかはいまだに謎だ。



 酒は、『お買い物アプリ』で購入した日本のお酒。オレはビールとウイスキー。ミシェル様とセレス様には、貴族という事でワインを提供。


 ミシェル様もセレス様もうまいうまいとがぶがぶ飲んでいるが大丈夫なのかな?


 そのワイン、決して高いものじゃなく、大容量紙パックの某スーパーマーケットチェーンのプライベートブランドのやつなんだけどな?




 軽トラの内部空間という事で、ノエル様も元気に動きまわっている。


 さっそく、タコ焼きの焼き方に余念がない。ミシェル様なんて、元気にはつらつとタコ焼きを焼くノエル様をみて感激の涙を流し、更にはノエル様の焼いたタコ焼きをほおばってそのうまさにさらに涙していた。




 ミネットやノエル様、リンスの未成年組にはコーラを提供。熱いタコ焼きと冷たいコーラの対比に感動しているようだ。



「シンジ~? こんなタコ焼き安く売られたら~、我がトランシープ商会は~、タコの輸送部門を閉鎖しなければならないのだよ~。わかる?」


 ん? ミネット酔っぱらってないか? あ、コーラと思ったら、ノンアルのコーラテイストカクテルだった! ノンアルなのに酔っぱらうのか?





「あ~、この一杯のために生きてるな~」


 こちらでは一升瓶を片手にラッパ飲みをしていらっしゃるランスさん。お前はほんとに濃い奴だな!



 ソヴルは辺境伯軍の中にいる女性兵士をナンパしに行ってるし、セヴルは「ああ、ルンにも食わせてやりたい……」と泣き上戸だ。




 まあ、みんな楽しければ万事オッケー!


 

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