ざまぁ小説かいてみた。

ひぐらし ちまよったか

さるかに

 ――さるは枝をつたい、まだ熟れていない青い柿の実を取ると、木の下から期待を込めた顔で見上げるかにへ向かって、これを思いきり投げつけました。


 ――カキン!


 標準装備【かにのこうら】の、特殊スキル『物理攻撃の無効化』が発動。

 かにのダメージ・ゼロ。

 パリィ判定は、有効。

 腕のハサミの加護【パリィ・ガチャ】が回転し、【地獄門】を引き当てました。


 更に、かにの甲羅の付与ギミック【闇の慈愛】を、ひとつ使用。

 さるに『苦痛を伴う死亡の場合、倍の苦痛と引き換えに肉体と命が蘇え続ける【永久不死】』が与えられます。


 やがて地獄門が、サルの腰かけた枝の背後に、ばっくり無間の口を開きました。


 さるは地獄の業火でくり返し、焼かれ続ける事になりました。



 地獄門が閉じ、秋空が戻ると、かにの保険【バランス補償】が計算されました。


 攻撃された悲しみを和らげる様に、かにの周りのて、その反作用で発生する『時間のさかのぼり現象』を利用したものです。


 さるの与えたつらいイジメの記憶がすべて、かにの甲羅からキレイに消え去りました。



 かにが手塩にかけた日々を振り返る頃、秋が進み、まっかに熟した柿の木は、枝にたわわに見下ろしていました。



 ―――― 了。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ざまぁ小説かいてみた。 ひぐらし ちまよったか @ZOOJON

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ