河童の手
島文音
第1話 水虎寺
――
山間部の集落、
再びミイラが盗まれたことが村中に知れ渡ったのは、昭和の戦後復興真っ只中のことであった。冬に備えて人々が慌ただしくしていた時節で、寺の檀家が気づいた時には、ミイラが納められていた空の桐箱しか残っていなかった。
ミイラの盗難を耳にした村の人々は、次から次へと
ミイラの管理をしていた住職を責めるものはいなかったが、人々はこれを河童の呪いだと言い始めた。
以後、村に起きた不幸はすべて河童の仕業だと言うようになったのである。
「どうか、我々のもとへお戻りください。河童様」
そこにあったはずのミイラは、もう一〇年以上戻ってきていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます