第4話 狂犬
中神 恋「相変わらず騒がしいなここは。」
渋谷。確か、新宿と池袋と共に日本三大なんかの地域と言われている気がする。
国立 慶「それにしても、今日の任務は特に異質ね。フェスのボランティアしようなんて。」
もちろん、本部ではなく、沢城さん直々の命令である。しっかり仕事とカウントしてくれるらしい。また、斑目さんが去る前に指示していたらしい。
国立 慶「なんか巡回とか、尾行とかより面倒そうだよな…自由にできそうにないし。」
中神 恋「文句言うな。大抵の職業は皆そうだから。」
???「飯野さぁぁぁぁん!」
代々木公園に差し掛かったところ、誰かのことを呼んでいるような叫び声が聞こえてきた。どうやら1人2人ではないようだ。
国立 慶「どうかしたんですか?」
???「はい、実はこの代々木公園でハロウィンイベントに合わせて、肉フェス、音楽フェスをやっているんですが…プロデューサーの飯野さんが見当たらないんです。」
どうやら、責任者が不在らしい。しかし、いかんせんイベントについては今日知ったばかりで、何の助力にもなれそうにない。
中神 恋「我々は大阪清涼からのボランティアです。どうぞよろしく。」
???「あ、大阪清涼さんの人!ありがとうございます。私はボランティアの佐々木 宗馬です。どうぞ、大した施設は無いですが、奥の方でごゆっくりしてください。また声をかけますので。」
中神 恋「ところで、プロデューサーの姓名は何だったか?」
国分寺 好「飯野さんじゃなかった?下はわからないわね。でも、ネットで調べれば出てくるんじゃ無い?」
中神 恋「そうか。」
沢城さんの命令では、「飯野さんに会ったら連絡しろ」とのことだった。その本人がいないのだから少し気がかりだ。
中神 恋「もしもし?良か?ハロウィンフェスのプロデューサー、飯野 走の現況について調べてくれ。」
拝島 良「もう調べてる。ただ、少し手間取ってるな。もう少し待ってくれ。」
中神 恋「わかった。」
個人の現況がわかってたまるかだって?拝島 良は最強の情報屋だ。東京中のホームレスの情報を網羅している。と考えていたら、見覚えのある顔が出てきた。
赤塚 神太郎「ここでも会うんじゃ無いかと思ったぜ…恋君よぉ。」
国立 慶「き、赤塚…!?」
まあ、会っても不思議では無かったが…。まさかこんなに上司と同僚が来るとは思っていなかった。
上野 円「…。」
熊川 円「いい加減にしなさいよ!なんで違うチームのあんたなんかと!」
あまり会いたく無い人達と会ってしまった…。聞こえないフリしておこ。
赤塚 神太郎「おいおい無視かよぉ。あの日以来もう友達じゃねえか。俺ら。」
熊川 円「無視すんなし!」
上野 円「…。」
国立 慶「おいお前らいい加減にしないと…」
国分寺 好「職員の素性を乱暴に聞き出すのはご法度になってるでしょ!」
ナイスだ!そしてすまん!そう思って、急いでその場から退散した。
熊川 円「待ちなさいよ!」
上野 円「…。」
俺が逃げた先は、東経連合の穏健派幹部の2人、千石 劉さんと西武 壮太さんの元だった。
千石 劉「おお、中神君じゃないか。どうかしたの。」
中神 恋「はい中神です。いや、少し赤塚さんがね。」
西武 壮太「ああ、赤塚か。常人には理解し難いよな。なんであんな好戦的なのか。」
中神 恋「西武さんはなんか知ってるんですか?」
西武 壮太「いや全く。僕自身も、裏社会の人間は別に殺さなくても、更生してくれればくらいしか考えてないし、彼の経歴について詮索するのも無粋かなって。」
中神 恋「ですよね…」
千石 劉「そういえば、妹さんのお見舞いには行ってあげてるか?」
中神 恋「ああ、それについてですが、最近LGの幹部らに絡まれてですね…ただ、今度あたり行こうかなと。」
千石 劉「身内は大切にしておきなよ。後に失ってからじゃ遅い。」
その後、他愛もない会話をしていた時、ようやく佐々木さんが来た。
佐々木 宗馬「大阪清涼の皆様、ご足労いただきありがとうございます。ボランティアの内容ですが…」
各役割に当てられた後、俺たちはそれぞれの役割に解散した。
国立 慶「それにしても、さっきも言ってたような気がするけど、なんで突然ハロウィンイベントのボランティアを命令されたんかな。」
中神 恋「そう言われればそうだな。」
イベントの監視や巡回などなら何度もあったが。
中神 恋「でも、斑目さんのことだ。何か考えがあるのかもしれない。」
国分寺 好「恋君は斑目さんの信者ね。」
中神 恋「いや、そう言うわけではないけれど…。」
でも、人格は好かないが心の中では何となく信頼しているかもしれない。妹の今の安全な病院に移してくれたのも彼だからだ。人格は好かないが(ここ大事)。
今俺たちは主に音楽フェスに向けての音響機器等の準備をしている。また、ここは見晴らしがいいため、(流石にいないと思うが個人的に)勝手に商品を消費してるやつがいないかも監視している。
国分寺 好「ところで、このイベントに私たちは参加していいんですかね?」
佐々木 宗馬「はい、ただできるなら顔を隠すように仮装していただけると幸いです。」
国分寺 好「はーい。ちなみに何でか聞いていい?」
佐々木 宗馬「本社からの達しです。個人情報流出のためとか。」
傍で聞いていたが、まあどちらかと言うと都合がいい。素顔で堂々と参加してNYやら蛇竜のメンバーと会って面倒ごとを起こしたくないので…(佐々木さんが優しすぎるので、彼に迷惑かけたくないのもある)。
ステージの準備が整ったと思った時、何やら煙が見えた。どうやら誰かが勝手に焼肉しているようだが、正直そこに行くには気が進まなかった。仕方なく向かってみると、
赤塚 神太郎「うぇーい!ルールを破って食う肉は最高だぜ!」
やはり赤塚だった。それと上野と熊川と、その他取り巻き諸々だろうか。うぇいうぇい言ってるが、東経連合の輩ってそういうノリが苦手な方が多くないだろうか。というか赤塚本人違うような。狂犬てそういうことじゃないと思うのだが…。
佐々木 宗馬「あの〜食肉は当日まで控えてくださるとありがたいんですが…」
赤塚 神太郎「なんだと?この一帯の屋台の準備をしたのは誰だと思ってるんだ?」
佐々木 宗馬「それは誰でもない、大阪清涼の皆様ですが…」
佐々木さんが困っている。千石さんと西武さんは備品の運搬のために代々木公園から離れている?これには見逃すわけには行かないな。
中神 恋「いい加減にしろ。お前らそんな歳になって。」
赤塚 神太郎「歳は関係ないだろう。男はいつになっても若くいたいんだ。斑目もやりたい放題やってるだろ。」
赤塚は噛み付いてきた。しかし周囲の人間はだんまりのようだった。
国立 慶「斑目さんはやりたい放題はやってないだろ...。今何してるか知らんが。」
国分寺 好「それに、あの人も流石に規則は破ってないでしょ。あんたさっき堂々と破ってって言ったでしょ。」
赤塚 神太郎「それなら、止めたきゃ止めてみろ。現実は非情と言うべきか、ルールがあっても抑止力がないと働かないんだ。」
中神 恋「いや、今はなくても本部からは制裁来るだろ。」
赤塚 神太郎「それはつまり、お前らは俺なんかのことを本部に制裁して欲しくないと思っているという事だよな?」
別にそんな事微塵も思ってはいなかったが、とりあえず肯定した。
中神 恋「もちろんだ。俺はあんたが無能だと思っていないからな。ここで脱退してもらうと困るんだ。」
赤塚はつまらなそうな顔をした。
赤塚 神太郎「別に俺は困らねえよ。今すぐ止めないなら消えろ。」
いや、その方が困るんだ。ああさては非難されてもう意固地になっているな。
中神 恋「あなたがそういう気であるのなら...仕方ないな。」
すると赤塚の形相が変わった。周囲の人間も関心を持ったようだ。
赤塚 神太郎「そう来なくっちゃな。斑目が見込んだ貴様らの実力、どれほどのものか試させて貰うぜ!」
国立 慶「ふん。こいつ程度。お前ならどうって事ないよな。」
中神 恋「できるならオーバーアビリティ使いたくないけどね。」
乳頭 慶「ステゴロで倒してしまえ!相棒!」
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