第695話

クロード、日中は少しでも魔物の数を減らすために人手の足りない地域に向かい魔物の討伐に参加していた。

夜は寮に戻ってきてエリーゼと時間を共有する。

寝る時間になるとエリーゼに神力を流し込みエリーゼの肉体を作り替えていた。

少しずつではあるが1回に流し込める神力の量が増えているので1ヶ月ぐらいで亜神クラスにはなれるだろう。

それ以降についてはまたエリーゼと相談してから考えればいいだろう。




クロードの配下も頑張っているが人間界の状況はあまり良い状態ではなかった。

特に酷いのはエインヘリャル達が関与した国々だった。

冒険者を雇おうにも国庫は空でそれが難しい。

人々を集め自前の兵力でなんとか生き延びている状況だったのだ。

だが、物資はどんどん減っていく。

このままでは餓死者が出る。

必然的に物資は戦える者が優先される形となった。

そうなると老人や女子供は後回しになる。

だが、彼等は甘んじてその状況を受け入れるしかなかった。

自分達が守られる弱者であると理解していたからだ。

だが、そこに救いの手がさしのべられる。

クロードの配下が到着したのである。

彼等はここまでくるのに倒した魔物のドロップ品を惜しげもなく提供した。

必然的に肉ばかりであるが人々は久しぶりのまともな食事に大いに感謝した。

そのままクロードの配下達はこの場所を拠点として魔物の駆除を開始した。

このような光景はあちらこちらで見られることとなる。

それからほどなくしてクロードの手配した商会が到着した。

彼等が運んできたものは保存食や戦うのに必要な回復薬や武器と防具であった。

支援の手で息を吹き替えした各国は反撃を開始した。

少しずつではあるが魔物を確実に倒し支配領域を取り戻していく。

クロードの配下達もそれを手助けする。

人間界は少しずつであるが危機から立ち直りはじめた。




人間界が立ち直るのを面白く思わない者がいた。

それはこの状況を作り出した主神オーディンである。

「ぐぬぬ。せっかくの舞台が台無しではないか」

オーディンとしてはもっと人々を窮地に追い込む予定だったのだ。

それがクロードのせいでひっくり返っていく。

「オーディン様。これ以上は・・・」

配下の1人がそう諌めてくる。

「わかっておる。だが、このままでは終われん」

「戦の準備はできております」

好き勝手に動いているオーディンではあるが誓約も多く存在する。

人間界に進出するにはそれなりの理由が必要だった。

だが、外部の神話体系が入り込んでいる今ならその誓約を無視することができる。

クロードの配下を排除するために戦の準備をしていたのである。

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