第691話

魔界はまだまだ混乱いている状況ではあるがオーディンのしでかしたことに住民は大変怒っている。

そのため、オーディン伐つべしという意見でまとまった。

だが、問題は魔界と天界の距離だ。

これについてはロキの配下が南下して天界の近くに転移門をしかけ、いっきに乗り込むという話になった。

魔界勢の参加は正直助かる。

クロードの配下達は人間界の状況を好転させるだけで精一杯だ。

正直、手が足りていない。

今回のオーディンの暴挙に怒っている神は少なくないがそれぞれ担当している世界を放置するわけにはいかない。

参戦を約束している神もいるにはいるが、それがいつになるかはわからない。

ロキといくつか今後の動きを確認してクロードは魔界を後にした。




クロードは魔界を出た後、グリフォンに乗ってゲルマン王国を目指す。

途中、魔物と激しい戦闘をしている集団がいたので加勢したりと寄り道をしながらではあるがゲルマン王国に戻ってきた。

まずは王宮により帰還の報告をする。

「ただいま戻りました」

「うむ。為すべきことをしてきたようだな?」

そう声をかけてきたのは父親であるファイネルであった。

「わかりますか?」

「向かう前にはなにやら焦ったような顔をしていたからな。今は憑き物のとれたような顔をしている」

「顔に出ていたとは・・・。僕もまだまだですね」

貴族とは必要に応じて騙しあいになることも少なくない。

それは神としても同じことだ。

だが、それを内側で聞いていたクロは『昔から変わってないにゃ』とほくそ笑んでいた。

クロードは駆け引きが苦手でその武力を持って物事を解決してきたのだ。

それができるだけの武力を持っていたからこそだが、付き合わされる配下としては勘弁してほしいところである。

「しばらくはゆっくりできるのか?」

「そうですね・・・。出きることは全てしたつもりです」

「ならば、エリーゼ様とのんびりするといい」

「エリーゼと?」

「表面に出さないだけで心配しておられることだろう。安心させてあげるのも男の甲斐性ってやつさ」

「そうですね・・・。それにエリーゼには話さないといけないことがありますし」

「私達には言えないことかい?」

「いえ、そう言うわけではないんですけど・・・」

「言いにくいことかい?」

さすがは父親ということだろう。

クロードが何かを隠していることを気づいているようだ。

順番が変わるだけで話す内容が変わるわけではない。

だが、最初にエリーゼに話すべきだと思ったのだ。

直感のようなものだが、その判断は間違っていなかった。

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