第684話
「それで、俺は何をしたらいい?」
ロキはそう訪ねてくる。
「城の地下になにか仕掛けがありますよね?」
「そんなこともわかるのか。この近辺の魔力を集めて圧縮している」
「また、強引な手段を・・・」
魔界で生活していく上で少しでも環境をよくしようとした結果なのだが、それは別の問題を作り出すことになる。
圧縮した魔力が暴走すれば大惨事だ。
「わかっているが、他に手段がなかったんだ」
「この際です。そちらも何とかしてみましょう」
「それだけではないのだろう?」
「わかりますか?」
「今のお前は悪戯小僧のような顔をしているからな」
「魔力を集める機能があるのは好都合です。渡した術式との相性もいいですからね」
「わかった。案内しよう」
ロキが向かったのはこの城の玉座の間だった。
椅子を動かせば地下への階段が現れる。
「またベタな隠し方を・・・」
「様式美のような物だ。気にするな」
階段を降りていけばものすごい魔力の固まりがあることに気がついた。
「まぁ、よくもここまで押さえ込んでいたものですね」
「おかげでほとんどこの場を離れられなかったがな」
ロキは決して弱い神ではない。
この場を押さえ込むためにかなりの力を注ぎ込んでいたのだろう。
魔界の統治者の維持のようなものだろうか。
「それでは、はじめます」
クロードは自身の神力を解放する。
変質した魔力を中和し穢れを浄化する。
ほんの少しでも出力を間違えれば魔力は爆発するだろう。
精密な魔力操作が要求される。
暑くもないのに額からは大量の汗が吹き出てくる。
正直、かなりしんどい。
だが、作業をはじめてしまった今、途中で放り出すわけにもいかない。
作業を止めれば行き場のなくなった魔力が魔界全体に広がり様々な災害を引き起こすだろう。
魔力とは人や魔人に恩恵を与える一方で扱いを間違えれば災害となる。
地球を管理する神々が魔力を扱えるようにしなかったのはこの為だろう。
だが、地球では魔法を使えない一方で別の問題が発生していた。
砂漠化や異常気象。
温暖化など例をあげれば実に様々な問題を抱えている。
結局、神であろうと人を完璧に導くなど不可能なのだろう。
中には神を絶対の者としてルールを厳しく定義している世界もあるだろう。
だが、必ず人がそれに従うとは限らないし仮に守ったとして自由を制限された人々は生きているといっていいのだろうか?
クロードとしては人々には自由に生きてもらいたいしそれを守っていきたい。
問題が起きたなら率先して人々に手を貸してきたしこれからもそうしていくつもりだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます