第673話

ゲルマン王国、王城にてポセイドスは日々送られてくる各地の状況に頭を抱えていた。


「陛下。失礼いたします」


「おぉ。リッチマンか。何かあったのか?」


「クロード殿が見つかりました」


「何?それは本当か?」


「はい。現在はプロミネンス領にいるそうです。明日、ファイネル殿と共に王都に向かうと」


「そうか・・・。よかった・・・」


「思えば各地の異常事態はクロード殿がいなくなってから起きましたな」


「そうであったな。あれほどの力を持ったクロードを排除した存在。後ろで糸を引いている者はどれだけ強大な存在なのか・・・」


「非才な私には想像もできませんな」


「とにかくクロードの帰還を祝わなければ」


「そうですな」


クロードは単独で軍を相手にできる存在だ。


騎士団の面々や兵士も頑張ってくれているがそれでもその頼もしさはポセイドスの心に余裕を生んだ。


「すまんが、誰かおるか?」


すると護衛の騎士がすぐに反応する。


「陛下。お呼びでしょうか?」


「すまんがエリーゼに伝言を頼む。クロードが帰還したとな」


「なっ・・・。それは本当なのですか?」


騎士が驚いたのも無理はない。


この国の騎士でクロードの存在を知らない者はいない。


「確かな情報だ」


「すぐに知らせてまいります」


「頼むぞ」


騎士はそのままポセイドスの執務室を出て行った。








騎士はそのまま自分の足で学園に向かった。


学園を守る衛士に足止めを喰らったがそれでも王城からここまで30分もかかっていない。


「はぁはぁ・・・」


騎士は軽く息を整えエリーゼの住まう寮をノックする。


「こんな夜遅くに誰ですか?」


出てきたのはエリーゼに仕えるアイナだった。


「陛下からの伝言です」


「陛下からの?」


「はい。クロード様が見つかったと・・・」


「それは本当ですか?」


「はい。確かな情報だと」


「確かに伝言をお預かりしました」


「はい。失礼いたします」


アイナは顔に出さないが仕えるエリーゼがクロードの安否のことを気にしているのを知っていた。


この情報を知らせれば喜んでくれるだろう。


「エリーゼ様。失礼します」


「アイナ。誰か来ていたようだけど・・・」


「陛下からの伝言です。クロード卿が見つかったと」


「それは本当なのですか?」


「はい」


「こうしてはいられないわ。すぐに王城に向かうわ」


「今からですか?」


「えぇ。少しでも情報が欲しいもの」


「わかりました」


こう言い出したらエリーゼは止まらないだろう。


止めるだけ無駄だ。


それにアイナとしても少しでもクロードの情報を知りたい。


その気持ちは主従共通していた。

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