第580話

魔力とはそもそも何なのか。


それは今より昔、神々は自分の世界ではなくそれぞれの世界に降り立ち奇跡をなしてきた。


人々はその軌跡に憧れ自分達もと望むようになる。


そこで神々は人でも扱えるようにと神力を変質させ世界に魔力として認知されるようになったのである。


しかし、問題が起きなかったわけではない。


強すぎる力は災いを呼び人の手には負えない化け物を生み出した。


そうしない為に神々は魔力を浄化するシステムを生み出した。


それが世界樹や龍脈である。


それらを補助する形でダンジョンがいくつも生み出され人々は魔力を当たり前のように使えるようになった。


それらの事実は時が経つにつれ忘れ去られていったがダンジョンは富を生む物として世界に定着した。




クロードは本日もダンジョンに挑んでいた。


今日は800層まで攻略するつもりで普段より早めに世界樹の攻略に乗り出している。


781層から799層まで特に変わったこともなく無事に攻略が完了した。


800層にいるのは少し厄介な巨大なゴーレムである。


弱点である属性が常に変化するそのゴーレムは耐久力も高く長期戦が予想された。


ゲーム時代では単独の属性が弱点だったのだが複合属性が弱点となっていたり強化されていた。


幾度も魔法を放ち精霊を宿した剣で斬りつける。


しかし、傷をつけた瞬間から修復されていく。


攻撃力が足りていない。


カランとシルフィーも参戦してくれたがそれでもまだゴーレムの回復力の方が上回っている。


2人にタゲを取ってもらい精神を集中させる。


意識が深い所に落ちていき神であった頃の知識にアクセスする。


今から使うのは神の奇跡だ。


本来であれば人の身である現在使うべきでない技。


しかし、今はその力が必要だ。


神としての己の本質。


それは滅ぼすことだ。


今その力を一時的に顕現させる。


神滅魔法。


強大な力を持つ神すら消滅させるその力を具現化させ剣に宿させる。


刃が触れた部分から先ほどまで何をしても修復されていたゴーレムが消滅していく。


手足を消し去り動きを止めたゴーレムの頭を消し去る。


ダメージ限界を迎えたのかゴーレムが倒れ消えてゆく。


その場に残されたのは巨大な魔石と見たことのない鉱石だ。


ドロップ品を回収しようとしたその時、突然体がふらつき倒れ込む。


どうやら身の丈に合わない力を行使した反動が来たようだ。


そんなことを考えながら意識を手放した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る