第572話
時間の出来たクロードは大量にある肉の消費もかねて燻製にチャレンジすることにした。
燻製用の魔道具は時間が出来た時に作ろうと思っていたので大量に準備済みである。
チップとしては桃、胡桃、林檎、桜など様々な種類を準備済みである。
肉の大きさや時間などは本来であれば試行錯誤しながら工夫するものであるが材料を無駄にしないために星の記憶から最適解を引っ張ってきている。
今回、料理に利用する肉は今まで狩ってきた様々な魔物の肉だ。
手際よく燻製用の魔道具に肉とチップをセットして魔道具を起動する。
後は出来上がりまで待てばいい。
手持ち無沙汰に何をしようかと考えていると家からイフが出てきた。
「ちょっと。この煙は何」
「すみません。少し手間のかかる調理法を試してまして」
「ふぅ~ん。でも、やるなら事前に言ってよね」
文句を言いつつも新しい料理と聞いてかなり期待しているようだ。
そういえば、以前作った魚の燻製がまだアイテムボックスに残っていたことを思い出す。
「よかったらこれでもどうですか」
「これは魚ね」
「はい。今回やってるのは肉ですけど同じ調理法で作った魚の燻製です」
「ほうほう。では早速・・・」
イフさんはそう言ってそのままかぶりつく。
「何これ・・・。すっごく美味しい。お酒が欲しくなるわね」
「あはは。言うと思いました。これをどうぞ」
言われると思っていたので日本酒を取り出し渡す。
「気が利くわね」
そう言ってコクコクとお酒を飲み、また燻製を食べる。
あっという間に燻製はなくなってしまった。
「はぁ・・・。朝からお酒なんて贅沢なのかしら」
イフさんは普段はあまりお酒は飲まないようだがこの組み合わせには負けたようだ。
「さてと・・・。私はちょっと出かけてくるわね」
「わかりました」
長老を辞めたとはいえイフさんにはしなければいけないことがいっぱいあるのだろう。
それなのに色々気を使ってもらって感謝しかない。
料理ぐらいでしか返せないが少しでも満足してもらえるように頑張ろうと思った。
燻製用の魔道具は放っておいても大丈夫なので他にも普段は手間がかかって作れないような料理をしようと家へと戻る。
完成した料理はアイテムボックスに入れておけば劣化しないので少しずつ出していけば大丈夫だろう。
器が足りていなかったので錬金術で保存用の鍋を量産したりする羽目になったがイフさんが喜んでくれるならいいだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます