第514話
「貴方達は一体何を考えてるんですか」
「ふん。貴様に教えることなど何もない」
「そうだ。そうだ」
敵対行動をしてきた時点でわかっていたことではあるが一筋縄ではいかなそうだ。
どうしたものかと考えていると精霊達が彼等エルフと行動を共にしていた精霊から事情を聞き出してくれた。
「彼等はクロードが世界樹に挑んでいるのが気に入らないみたいだね」
「我ら、エルフの聖地である世界樹に人族が入り込んでそんなの見過ごすことなどできるか」
「そうは言うけどさ。ハイエルフ達は認めているし何より精霊王様が許可を出しているんだよ。それなのに一介のエルフである君達が妨害するのは違うんじゃないかな」
「そうはおっしゃいますが人族が我らエルフにした仕打ちを忘れることなど」
「僕らが生まれる前の話だから僕らは知識としては知っているけどそれ以上でも以下でもない。君達の気持ちがわからなくもないけどその行動はエルフ族にとって果たしてどういう結果を招くか理解しているのかな」
「それはどういう意味ですか」
「最近の君達は一部を除いてただ精霊に甘えているだけ。今まではそれでも世界樹の護り手として尊重してきたけれど僕らはクロードと出会ってしまった」
「な、何を言っておられるのですか」
「僕らの使命は精霊としての格をあげて浄化された魔力を世界中に運ぶことだよ。君達は精霊達と協力して僕らを成長させなければいけなかったんだ。でも、今はクロードがその役目を担っている。君達は不要なんだ」
「我らをお見捨てになると」
「精霊のネットワークで情報を流したからここにいない精霊達の中にはエルフ族を見限る者も出るだろうね」
多くの精霊達が付き従ってくれたが全ての精霊がクロードと行動を共にしているわけではない。
だが、精霊のネットワークで情報を流したということは全ての精霊にこの行動が知れ渡ったということだ。
精霊達がどういった行動に出るかはわからないが中々に厳しいことをする。
この件は精霊達を通して全てのエルフとハイエルフにも伝わることだろう。
そうなったら彼等はその責任を取らされることになるのだろう。
「というわけで、クロードはどうしたい」
「いえ、何だか可哀想になってきました」
見るからに意気消沈している彼等は放置しといても問題ないだろう。
クロードは付き従う精霊達と共にその場を後にした。
余談ではあるがクロードに襲撃をかけたエルフ達は里を追放されあちらこちらを彷徨うこととなる。
彼等を見捨てられなかった精霊が一緒に行動をしてくれたのが唯一の救いだった。
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