第485話
ゲルマン王国国王ポセイドス・ド・ゲルマンの姿が王城の大会議室にあった。
活発化している魔物被害を食い止めるためゲルマン王国が中心となり周辺国に呼びかけ行われたこの会議では国の大小に関わらず平等であると示す為に円卓が採用されている。
しかし、全ての国がこれに納得しているわけではなかった。
その代表とも言えるのがシンラ帝国である。
「なぜ、我々が他の国と轡を並べなければならないのか」
そういって苛立ちを隠そうともしないのはシンラ帝国からやってきた皇帝の代理人である。
彼の近くに座っていた各国の代表はすっかり萎縮してしまっている。
「シン殿。納得いただけないのなら退席していただいても結構だ」
ポセイドスはそういって取り合おうともしない。
そもそも、シンラ帝国にも声をかけたが元々ゲルマン王国の重鎮達はシンラ帝国を呼ぶのに反対であった。
ゲルマン王国の北に位置する国々に侵略戦争を仕掛け直接、刃を交えたばかりであったからだ。
しかし、ポセイドスは内情はともかくも人類一丸となってこの窮地を脱する為という名目の元、シンラ帝国にも声をかけたのである。
「ふん。時間の無駄だったな。私はこれで失礼する」
シンラ帝国の代理人であるシンはそう言って席を立ち退出していった。
「皆様、お騒がせしました。会議を続けましょう」
シンラ帝国が腹を立てるのも想定していたためポセイドスは冷静に会議を推し進める。
「現在、各地で魔物の活動が活発になっており多くの国が対応に苦慮しているものと思います。その発生の一つの原因として魔族の暗躍があげられます」
「それは確かなことなのでしょうな」
「それは確実です。現在、限定的に設置され運用されている転移門ですが元は魔族が魔界と各地を繋ぐ為に設置されていたものを解析し利用しているのです」
「では、魔物は魔界から来ていると」
「全てではないですがその可能性は高いでしょう。そして魔族はそれだけではなく人に化けて国の中枢部に潜りこもうとしていました」
「人に化けて・・・。どうやって見分けたらいいのだ」
「我が国では見分けかたを確立しておりますのでご安心ください」
「そう言っていただけるのはありがたいがゲルマン王国は我々に何を求めておいでなのか」
「民の平穏です。今は均衡状態を保っているがどこかの国が魔物の対応を誤ればそれは他の国に影響を与えいつかは我が国にも影響を与えるかもしれない。ならばそうしない為に手を打ちたいと私は考えている」
全ての国々ではないがポセイドスのその言葉に多くの国々が納得するのであった。
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