第470話

クロードは村長と共に朝食を取った後森に来ていた。


魔法で木を伐採して加工を施しアイテムボックスに次々と放り込んでいく。


休むことなく作業を続けること半日。


区切りの良いところまで木材を確保したクロードは昼食の為に村長の家に戻る。


クロードはゴブリン被害で食料に難のある今、負担をかけるわけにはいかないと死蔵しているオークの肉を提供していた。


村長は喜び、食べきれない分に関しては干し肉に加工すると言っていた。




昼食の席にて村長が話しかけてくる。


「クロード殿。作業の方はどうですかな」


「おかげ様で順調ですよ。数日のうちには防護柵の作成に入れると思います」


「食料の件もそうですが何から何まですみません」


「救う力があるのに何もしないのはダメだと思っているだけですから」


「若いのに立派なのですね。これは愚痴になってしまいますがご領主様にも見習ってもらいたいものです」


「この地の領主には会ったことはありませんがこの村にくるまでに受けた印象では手が足りないのでしょうね。魔物の被害に困っているのはどこも一緒でしたから」


「そうなのですな。しかし、それでは我々は切り捨てられたということでしょうか」


「辺境ですからね。手が足りなければ大を守る為に小を切り捨てるのも時には必要なことでしょう」


「理解はできますが納得はできませんな」


「その気持ちもわかりますが今は出来ることをするしかないでしょうね」


「出来ることをですか」


「まずは手始めに集めてもらった若者達を鍛えるところからですかね」


「鍛えるですか。私はてっきり防護柵作りの手伝いをさせるものかと思っていましたが」


「そちらは私一人でもできますから。防護柵を作っても最低限、自分達の身を守る力は必要ですよ。私もいつまでもここにいて手助けできるわけではないですからね」


「確かにおっしゃられる通りですね」


「それではそろそろ行ってきますね」


そう言い残しクロードはこの村の若者達が集まっている広場に向かうのだった。




広場についたクロードは集まった若者5人を見渡す。


「はじめまして。クロードと申します」


「なんだ。まだ餓鬼じゃねぇか。村長が大事な用があるっていうからきたって言うのに」


「大事な用があるのは間違っていませんよ。皆さんにはこれからこの村を守る為に鍛錬してもらうつもりですから」


「鍛錬って言われてもな。この村に武器なんてねぇぞ」


「それは大丈夫です」


そういってクロードはアイテムボックスからリザードマンが使っていた程度の良い槍を6本取り出すのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る