第437話
クロードとエリーゼは夕食の後、クロードの部屋で食後のお茶を楽しんでいた。
「こうしてのんびりするのも悪くないわね」
「そうですね」
婚約者と言えど女の子と二人きりというこの状況でクロードは緊張していた。
しばらく無言が続くが嫌な気持ちにならないのは不思議だ。
「エリーゼは何かしてみたいこととかはないんですか」
「そうね。クロードはドラゴニア王国に行ったことがあるのよね」
「えぇ。お仕事でしたけどね」
「私も行ってみたいわね」
「わかりました。来週は二人で行ってみましょうか」
「護衛をつけろって怒られたし大丈夫かしら」
「カリオンを連れていくぐらいなら転移に影響はないですから僕の方から話してみます」
「それは楽しみね」
クロードは何となくギターを取り出し何曲か弾いてみる。
エリーゼはただ黙ってクロードが奏でる曲を聴いている。
曲が終わるとエリーゼは拍手してくれる。
「素晴らしい演奏だったわ」
「やはり誰かに聞いてもらっていると思うと緊張しますね」
「ふふ。私はそろそろ部屋に戻るわね」
「エリーゼ。お休みなさい」
「お休みなさい」
そう言ってエリーゼは自分の部屋に戻っていった。
翌日、クロードとエリーゼはカリオン率いる護衛の騎士団員を引き連れ再び教会を訪れていた。
まずは基本となる体力錬成の為のランニングを全員で行う。
それが終わったらクロードとカリオンは男の子を中心とした子供達を指導しエリーゼと護衛の騎士団員は女の子を中心とした子達を指導する。
カリオンは訓練用の武器をいくつか持参してきており剣があっていないと思われる子達に武器の変更を勧めていた。
子供達は素直に武器変更に従っておりカリオンの監督の元、基本となる素振りを行っている。
クロードも気になったことがあれば話しかけてアドバイスを送っていた。
子供達と共に昼食を取り午後も根気強く鍛錬に付き合う。
1週間はあっという間に過ぎ去りエリーゼと約束していたドラゴニア王国へ出かける日となっていた。
父様であるファイネルからはカリオンを連れていくことを条件に許可を取っており転移魔法を使ってドラゴニア王国の王都へと飛ぶ。
「ここがドラゴニア王国ね」
最近ではゲルマン王国の王都でも警戒の為に竜騎士が空を飛んでいるがそれはドラゴニア王国でも同じであった。
「僕もドラゴニア王国の王都観光ははじめてですから色々まわってみましょうか」
「そうね。今から楽しみだわ」
こうしてクロード一行のドラゴニア王国王都巡りははじまったのである。
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