第433話
クロードはカリオン率いる護衛の騎士団員を引き連れてコーヒー豆の焙煎工場を訪れていた。
エリーゼは母様であるリーシアが主催するお茶会に参加するとのことで今日は不在だ。
工場の設計をしたのはクロードの為、何がどこにあるのかわかっているためそのまま中に入っていく。
働いているであろう従業員が近づいてきて話しかけてくる。
「騎士団の方々何かございましたか」
「クロード様が視察をしたいとのことでな。責任者はおられるか」
「すぐに呼んでまいります」
そういって従業員は慌てて奥の方へかけていった。
しばらく待っていると責任者の男性がやってくる。
「ベーテさん。お久しぶりです」
「これはクロード様。お呼びいただければこちらから伺いましたのに」
「工場の様子を一度見ておきたかったので。何か問題とかはありますか」
「そうですね。焙煎直後はいいのですが焙煎してから日にちが経つと味や香りが落ちることがわかっておりますのでその調整が難しいですね」
「なるほど。確かにそれは問題ですね。手軽に焙煎できる魔道具を開発するのもいいかもしれませんね」
「それはいい考えですね。それと新商品があるんですよ」
そういってベーテは一度工場の奥に引っ込み小さい木箱を持って戻ってくる。
「これは」
「チョコレートという物です。健康にいいと現地では評判なのですがこれが苦くてですね」
クロードは箱を開けて一つ食べてみる。
するとカカオ特有の苦みが口の中に広がる。
「確かにこれでは一般受けはしにくいですね」
「どうすれば売れるでしょうか」
「僕に考えがあります。加工場を借りますね」
「どうぞ」
クロードは加工場に移動するとチョコレートを湯煎する準備を始める。
ぬるま湯を用意してその上にボールを乗せてその中にチョコレートを入れて溶かしていく。
十分解けたら砂糖を加えさらに塩を少量加える。
2つに分けて片方には牛乳を混ぜてみる。
味を確認して型に入れたら備え付けの冷蔵庫に入れてチョコレートを冷やしていく。
後はこの作業を繰り返して微妙に変化をつけつつ試作品のバリエーションを増やしていった。
最初に作ったチョコレートが固まったところで皆で試食してみる。
「どうでしょうか」
「甘いですね。これなら売り出せると思います」
「これらを基準にフルーツやナッツなんかを加えてもいいと思います」
「それは考え付きませんでした。ありがとうございます」
ベーテは仕入れた商品を販売できそうな光明が見えて嬉しそうだった。
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