第389話

捕虜を連れて無事戻ってきたクロード達は無事に王宮騎士団と合流を果たしていた。


「クロード卿。ご苦労様でした。本当に敵陣を突破してしまうとは・・・」


「相手が航空戦力の存在を知らなかったから取れた手です。次からはこううまくはいかないでしょう」


「我々はクロード卿に率いられた竜騎士団の突破を阻止出来る気がしないですけどね」


「相手からしたら悪夢でしかないだろう。クロード卿が味方で本当によかった」


そこに1騎の騎兵が走ってくる。


「伝令。伝令です」


伝令兵はかなり慌てた様子で息も絶え絶えだ。


「落ち着け。これでも飲んで息を整えろ」


伝令兵に水を飲ませて落ち着かせる。


「それで何があった」


「ニーパス領で魔物の氾濫です。アドルフ王太子殿下が近衛騎士団を率いて援軍に出られたとのことです」


「ご苦労だった」


「対応しているのはファールハイト兄様なので大丈夫だと思いますが僕らは救援に向かいます」


「それがいいだろう。こちらは任せておけ」




クロードは竜騎士団の団長達を集めて指示を飛ばす。


「疲れているところすまないがニーパス領で魔物の氾濫だ。大至急ニーパス領に帰還する」


「わかりました。守るべき領地が危機に直面しているのです。休んでいる場合ではないですな」


「僕は転移魔法で先に戻りますが問題ありませんね」


クロードの転移魔法では運べても数人だ。


竜騎士団全員を送り届けるのは不可能なので竜騎士団は転移門を使い陸路をいくこととなる。


「お任せください」


竜騎士団は命令が伝えられると即座に馬にまたがり行動を開始した。




クロードは転移魔法でニーパス領の領都へと飛んだ。


まずは情報の収集だ。


この事態の指揮を執っているファールハイト兄様と会うのが一番早い。


領主館に到着するとすぐに使用人がファールハイト兄様のもとへと案内してくれる。


「ファールハイト兄様。状況は」


「クロードか。北方の問題はいいのかい」


「そちらは解決しました」


「わかった。状況を説明する。ニーパス領の複数の森で魔物の急激な増大が確認された。現在は周辺の兵士を総動員して封じ込めをしている状況だ」


「わかりました。王都からはアドルフ王太子殿下が近衛騎士団を連れて向かっているとのことですし王都から一番遠いこちらの方面から制圧を行います」


「大丈夫だと思うけど気を付けていくんだよ」


このタイミングでの魔物の氾濫はタイミングがよすぎる。


何か策略のようなものを感じつつもクロードは転移魔法で目的の森まで飛ぶのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る