第386話
ニーパス領に転移魔法で飛んだクロードはすぐに竜騎士団を率いて出陣した。
竜騎士団では積極的にアイテムボックス持ちを採用しており常に一定の物資を確保させているため迅速な展開が可能だった。
上空には100騎からなるワイバーン部隊も展開させている。
クロード達が向かうと同時に北方の国では急展開を迎えていた。
シンラ帝国が防備の薄い場所を探すべく強硬偵察部隊を派遣しはじめたのである。
対応する軍は各国からの寄せ集めであり指揮系統に重大な問題を抱えていた。
強硬偵察を阻止するべく動くが軍と軍との隙間をつかれ脆弱部が露呈してしまう。
強硬偵察の結果を踏まえてシンラ帝国が進軍を開始し火消し役であるゲルマン王国の王宮騎士団が対応するが全てを補うのは不可能だった。
孤立することを恐れた各国の軍は即時に撤退を開始する。
徹底抗戦の構えを見せる軍もなくはなかったがその多くは討ち取られ散々な結果となった。
防衛陣地を構えなおした頃にクロードの率いる竜騎士団が到着したのである。
「クロード卿か。よく来てくれた。現在の状況を説明する」
「お願いします」
「現在、各国の連携の不備をつかれる形でシンラ帝国から攻撃を受けている」
「聞いていた地点より後退しているということは負けたのですね」
「ゲルマン王国の部隊は問題ないのだがやはり寄せ集めということで指揮系統に問題を抱えているのが痛い」
「なるほど。目的は同じとしていますがまだ攻め込まれていない国と今危機に面している国とでは温度差もあるでしょう」
「実際すぐに撤退した国と徹底抗戦をした国で対応が分かれた」
「指揮系統をまとめるのは難しいということですね」
「そうなるな」
「陛下からは迅速に解決することを求められています。防衛していては事態の解決は難しいでしょう」
「その通りではあるが何か策があるのか」
「我々が突っ込み歩兵部隊に後を追わせましょう」
「クロード卿。とても正気だとは思えん策だな。それでは孤立する可能性すらあるぞ」
「その可能性もありますが本隊を襲撃されているとわかれば相手の進軍速度も鈍るでしょう」
「攻撃は最大の防御か」
「どちらにしろこのままではジリ貧だ。やってみようじゃないか」
「こちらには数は少ないですが航空戦力もあります。相手の土手っ腹に大穴をあけてあげましょう」
「これだからクロード卿と組むのは面白いのだ」
防衛戦で鬱憤が溜まっていたのだろうやる気となった王宮騎士団の団長達も顔が笑っていた。
策の決まったゲルマン王国の軍勢は迅速に動きクロードを先頭にしてシンラ帝国軍に向かって突撃を開始するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます