第351話
エリーゼとの訓練時間を確保するためにクロードは睡眠時間を削り転移門の製作をしていた。
依頼のあった数はギリギリではあるが達成したクロードは休日の度にエリーゼと共に鉱山都市グローリアを訪れダンジョンに潜っていた。
その甲斐もあって4層でもワーカーアントを安定して倒せるようになっていた。
そして事件が起きたのは武闘祭の前日である。
クロードはいつものように授業を受けていたのだが突然倒れたのである。
その知らせは即座に王宮へも伝えられ国王陛下であるポセイドスはじめ王国上層部を大いに反省させることとなる。
学園の保健室へと運び込まれたクロードの診察結果は過労であった。
連絡を受けた多くの者が保健室へと足を運び心配そうにクロードを見守っている。
そこには異例ではあるが国王陛下であるポセイドスに大臣達。
王宮騎士団の団長である3人の騎士団長まで揃っていた。
クロードの前でエリーゼは泣いていた。
「クロードが忙しいのは知っていたのに私のせいよ」
「それは違うぞ。エリーゼ。クロードが何も言ってこないのをいいことに色々仕事をさせた儂達の責任だ」
クロードは今まで皆の期待に応えてきた。
今回も大丈夫だという安易な考えのもと、無茶ぶりをしすぎたのである。
クロードの功績は大きい。
ゲルマン王国にとってクロードの替えは効かない。
それほどゲルマン王国にとってクロードの存在は大きくなっていた。
そこに保健医が一喝する。
「皆さん。責任の押し付け合いは結構ですが病人の前です。静かにできないなら出て行きなさい」
保健医に締め出された人々はそのまま学園の会議室に移動して今後のことを話し合っていた。
「クロードにしか出来ないことは多々ある。かといってこのまま頼り切りではまたいつ倒れるかわからないな」
「優秀な魔道具師を集めその中から信頼のおける者を集めてクロード卿に師事させてはいかがでしょうか」
「機密保持の問題もあるがそれではクロードの負担にならないか」
「一時的にはそうでしょう。ですが将来的には負担が減るのではないかと」
「今をとるか。今後をとるか。難しい問題だな」
「どちらにせよ。我々の危機意識が低かったのが原因です。クロード卿がいれば何とかなる。そのような姿勢になっていたのが浮き彫りとなった形です」
「お父様。クロードは私の憧れの姿なのです。いつか彼の横に立ちたいと願ってきましたが頼って助けられてばかりで・・・」
「エリーゼよ。その気持ちはよくわかるぞ。下を向いていても何も解決しない。出来ることを一つ一つこなしていこう」
国王陛下であるポセイドスの言葉に全員が意識を改めて職務に励んでいくこととなる。
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