第337話

クロードは恒例の演習に参加していた。


毎度のことであるが高等部の生徒が安全の為に付き合ってくれているが実力の高いクロードがいるということで成績のあまりよろしくない生徒と組まされている。


教師から直接聞いた話ではあるが成績の悪かったハバロフ達の成績がよくなったこともあり指導能力に期待しているとのお言葉を賜った。


今回来ているのもプロミネンス侯爵領にあるゴブリンの出るダンジョンであり2層に繋がる安全地帯をベースとして1層で経験を積んで様子を見て2層に移動する予定だ。


同行しているクラスメイトは槍を使う生徒が1人に剣を使う生徒が1人と魔法を中心に使う戦う生徒が1人だ。


剣と槍は王国ではオーソドックスな武器ではあるが技量の差が出る武器でもある。


魔法を中心に使う生徒もまだ習得している魔法が少なく対応力に課題を抱えている。


基本的には槍を使う生徒が牽制して魔法を使う生徒が魔法で遠距離から攻撃し剣を持つ生徒が陣形が崩れたところを斬り込んでいくこととなる。


怪我をすればクロードが回復魔法で治し体力を回復する回復薬と魔力を回復する回復薬を惜しみなく提供することでハイペースで狩っていくこととなる。


クロードは演習期間は限られているので回復薬で休憩時間を短縮できるのなら安い物だと考えている。


その様子を見て高等部の生徒は少し同情していたのだが。


普通なら休む場面でも回復薬のせいで休めず精神的には結構きついがクロードの考えもわかる為、何も言えなかった。


それでも彼らが頑張れたのはクロードの出す料理のおかげだろう。


毎回、演習中とは思えない豪勢な料理を作り思う存分食べることで精神の均衡を保っていたように思える。




無事に2層目でもゴブリンの討伐を行い演習が終わった頃にはステータスも育ち安定して狩ることができるようになっていた。


この噂が広がりクロードと組みたいというクラスメイトが殺到したが組んだ当の本人達は黙して語らず何があったかは分からずじまいとなった。


教員達は高等部の生徒から事情を聴き何があったのかは理解していたがクロードに一任した手前何も言えなかった。


貴重な回復薬を惜しみなく使うなど予算を考えれば許容できないがクロードの持ち出しであるため問題にはされなかった。


今回のことを踏まえてクロードと組ませる生徒は実力を伸ばしたいと思っている生徒を優先するということだけは決まったが選定には苦労することとなる。


クロードは狩りの様子を見てまだいけるのかダメなのか判断はしていたのだがそれでもスパルタ教育には変わりがなかった。

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