第308話
クロードは予定通りに定期試験を受けていた。
基本科目に加えて実技でも良い結果が出せたと思う。
「定期試験も終わったし街で遊ぼうぜ」
思い返せば必要があったとはいえ働いてばかりでろくに遊びに出ていなかった。
「いいですね。お付き合いしますよ」
「クロードならそう言ってくれると思ったぜ」
クラスメイトと連れ立って街に繰り出す。
「俺。武器屋に行ってみたいんだけどいいかな」
クロードも必要がなかったために王都の武器屋を訪れたことはなかった。
「僕も興味があるのでいいですよ」
異論の声が上がることなくクロード達は武器屋へ向かった。
「王都で有名な武器屋っていったらここだな」
店の中には冒険者と思われる人達が武器を吟味している。
クロード達も中に入り武器を見てみる。
店内には数打ちなのだろう安い武器が雑に置かれており手に取って確認してみるが大した品でないことがわかる。
価値のある武器はショーケースに飾られており店員に声をかけなければ見ることが出来ないようだ。
「やっぱ価値のある武器は高いな」
「色々金の工面はしてきたけど手が出せないな」
クラスメイト達が見ていた武器に目を移せば装飾品は見事だが実用かと言われると疑問符が付くようなものだった。
「そちらのものよりこちらの方がよくないですか」
クロードが示したのは飾り気は少ないが実戦に耐えられる品だ。
「う~ん。でもこっちのほうがカッコいいしな」
なおも悩むクラスメイトだったが店主が声をかけてくる。
「坊主。いい目をしているな。その品は貴族がカッコいいと買っていくが坊主が示したのは冒険者共が求める実戦向けの武器だ」
「この店にはプロミネンス侯爵領やニーパス領の武器は置いていないんですね」
「どっちも仕入れようと努力はしているが入ってきてもすぐに売れちまうんだよ」
「そうなんですね」
クロードのアイテムボックスの中にはどちらの鍛冶屋の武器も入っているがここで出すわけにもいかず苦笑いをする。
「クロードならどっちの武器も手に入りそうだけどな」
「それはそうですけど店主の営業努力に水を差すようなことはできませんよ」
「坊主。コネでもあるのか」
「実家と所有している領地ですからね。鉱山都市グローリアで材料は手に入りますからそのうち安定して仕入れられるようになると思いますよ」
結局クラスメイトは資金が足りないと武器の購入を諦めたがクロードが代わりの武器を手配するのも何か違うため何も言わなかった。
その後は街で夕食をとり寮に戻るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます