第295話

国王陛下であるポセイドスと宰相のリッチマンと別れたクロードとエリーゼは再び街の探索に戻っていた。


エリーゼは小物類のお店が気になるらしく度々足を止めていた。


見ているだけで楽しいようでエリーゼの機嫌はよさそうだ。


女性の買い物は長いと言うが楽しそうにしているエリーゼを見れば文句も言えず付き合い続けた。


喉が渇いたということで近くの喫茶店に入り紅茶を注文する。


「クロード。ごめんなさい。私ったら夢中になっちゃって」


「いえ。楽しそうなエリーゼを見れたから十分ですよ」


「これを飲み終わったらクロードの行きたい場所に行きましょう」


「わかりました」


紅茶を飲み終わったクロードはここ最近行けてなかったので古書店を目指す。


古書店に入ればいつものお爺さんが出迎えてくれる。


「いらっしゃいませ」


「王都にはこんなお店もあったのね」


エリーゼは興味深そうに本を眺めている。


「何かお勧めの本はありますか」


「そうですね。仕入れたはいいものの何語かもわからないこちらの本とかはどうでしょうか」


クロードがその本は最近よく目にしていたものだった。


「これは神代文字ですか。買わせていただきます」


「神代文字というのですか。こちらの値段はこれぐらいで結構です」


「安すぎませんか」


「置いておいても誰も読めないということで買い手がつかないですから」


クロードは代金を支払い本を受け取る。


「クロード。よかったわね」


「これで少しでも研究が進展するといいんですけどね」


クロードは他にも気になった本を数点購入して帰路についたのである。




「今日は付き合ってくれてありがとう」


「いえ。いい気分転換になりました」


それぞれ寮に帰りクロードは早速神代文字の解読を開始した。


解読をしてわかったことだがこれは神話を記したもののようだ。


人々は平和な時を過ごしていたが悪戯好きの邪神ロキは人の世界に魔物を放ち混沌の世界へと作り変える。


それを見かねた主神オーディンはヴァルキリーを人の世界に使わし人々を導いて人の世界に平穏を取り戻す。


この時死んだ人々の魂はヴァルハラに導かれた。


邪神ロキは魔界へと引き上げたが世界の終末戦争ラグナロクを画策しており主神オーディンもこれに備えヴァルハラに導かれた戦士達に戦いに備えて訓練を続けるように指示を出したという。




解読をした結果を読んでクロードは笑ってしまう。


何故ならこれはnordic war onlineにおける謳い文句だったからである。


ゲーム時代ではいつか起こるイベントとして捉えていたのだが現実となった今この文章を再び見るとは思っていなかった。

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