第278話
授業を無事終えたクロードは少しだけ仮眠をとり王宮へと来ていた。
転移門の実用化が見えたことによりどのような運用をすべきか判断に困ったからである。
国王陛下であるポセイドスと宰相のリッチマンが出迎えてくれる。
「今回は何用かな」
「実は師であるネツァルさんと共に転移門が実現できないか研究を行っていたのですがその試作品が出来上がりました」
「なるほど。それが事実なら大きな収穫だな」
「実用出来たからと言ってそれを実際に使うには様々な懸念材料がありますね」
「まずはメリットから上げていこうではないか」
「これを利用できれば物流に大きな変化が期待できます。今までは長時間かけて運んでいた品が短期間で運べることとなります。次に軍の大規模な動員をスムーズに行うことができるでしょう」
「次はデメリットだな」
「転移門を利用できる商人と出来ない商人の格差が生まれ不平不満のもととなるでしょう。また、転移門を敵対する者に利用されれば窮地に陥る可能性を否定できません」
「まだ問題はあります。新技術の導入で魔石の消耗を抑えておりますがそれでも実際に動かすにはそれなりのコストがかかります」
「実際に動かすにはどれぐらいの魔石を使うのだ」
「現在の試作品ではこれぐらい使うこととなります。転移門は2つで1つですので実際には倍の量が必要になってきます」
「賄えないわけではないが決して安いわけではないな」
「2つで1つということは2台が稼働状態でないと使えないということですね」
「そちらに関しては通信の魔道具を使うことで稼働のタイミングを合わせればよいのではないでしょうか」
「それなら稼働のタイミングを合わせることは可能だな。それで実際にはどれぐらいの距離が飛べるのだ」
「実験ではこれぐらいの距離を飛ぶことが可能でした」
「国境までは流石に飛べないということだな。だが複数の転移門を経由すればいいわけだ。転移門を守る専用の部隊を作り稼働時間を決めればよいということだな」
「実際に運用してみなければわからない部分もあるでしょう」
「安定している箇所に試験的に導入してみようと思うが量産は可能か」
「材料の方には問題ありませんが実際に作るとなるとそれなりのお時間を頂くことになるかと」
「それで構わない。わかっていると思うが通信の魔道具以上に生産法は秘匿してもらいたい」
「かしこまりました」
その後は実際にどこに配置して試験を行うかの話し合いが行われた。
候補の中には王家を裏切らない相手としてプロミネンス侯爵領や国境が安定しているということでニーパス領も含まれることとなる。
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