第273話
クロードは王宮へと呼び出されていた。
対応してくれたのは国王陛下であるポセイドスと宰相のリッチマンである。
「陛下ご無沙汰しております」
「しばし待て。もう一人呼んでおるのでな」
使用人が入れてくれた紅茶を飲みつつ待っていると一人の男が入室してくる。
「陛下。お呼びとのことですが何か御用でしょうか」
「何か思い当たることはないか」
「いえ。何のことだか皆目見当もつきません」
「あくまで知らぬというのだな」
「はい」
「ごっほん。全員揃ったところで経緯を説明しましょう。事の発端はクロード卿が経営する店に暴漢が入ったことからはじまりました。店への被害は偶然居合わせた王宮騎士団の活躍もあり軽微なものでしたが誰が何の目的でこのようなことをしたのかが問題でした」
「続けてくれ」
「暴漢達を取り調べたところ闇ギルドの構成員だとわかり王宮騎士団の有志と共に衛兵が検挙を行いました。そこで押収された書類がこれです」
宰相のリッチマンは一枚の書類を取り出す。
「これには貴殿の家の使用人のサインが入っている。どういうことなのか説明していただきたい」
「生憎ですがその者はすでに我が家の使用人ではなくどうしてこのような暴挙に出たのか私にはわかりかねます」
「なるほど。知らぬとおっしゃるのですね」
「その通りです」
「クロード卿が買い取った店ですがとある貴族が嫌がらせをしていたと噂がありそちらの方も捜査をしたのですがそこで上がった名が貴殿のものであったのですが身に覚えはありますか」
「おっしゃられている意味がわかりませんな。そんなことをして私に何の益があるというのですか」
「こちらも知らないとおっしゃられるわけですね」
「私は何一つ存じあげないことです」
「事件のあった当日貴方が店を訪れて後悔してもしらぬからなと発言したと多くの証言があるのですがそちらについてはどうですか」
「確かに当日店にはいきましたがそのような発言は致しておりません」
そこで国王陛下であるポセイドスの怒りの矛先が向く。
「どれもこれも黒幕はお主だと示しておる。のらりくらりとかわそうとするその姿勢もいただけない。王国貴族としての誇りはないのか」
「誇りならございますとも。失礼ですがそちらの子供が可哀想だからと私を責められても困ります」
「紹介がまだでしたね。クロード・フォン・プロミネンス辺境伯です。我が国を守る楯である辺境伯家の当主に対する口の聞き方ではありませんね。敬意を払うべきでしょう」
国王陛下であるポセイドスと宰相のリッチマンは事前に話し合いをしておりどう決着をつけるかまで決めていたのである。
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