第272話
クロードの経営するカフェ兼バーは貴族の男が起こした騒動などなかったかのように夜の部のバーがはじまっていた。
昼間とは違いスパークリングワインを楽しむために多くの人が集まりゆったりとした時間が過ぎていた。
そこに闇ギルドの指令に基づき破落戸達が店を破壊すべく行動を起こす。
しかし多少店に被害が出たものの彼らはあっけなく捕縛された。
訓練を終えた王宮騎士団の団員達は毎日のように店に通い訓練の疲れを癒していたからである。
酒を飲んでいても破落戸に遅れを取るような団員達ではなかった。
捕縛された破落戸達は衛兵達に引き渡され闇ギルドの関与があっけなく発覚した。
闇ギルドは癒しの場を荒らされたと怒った王宮騎士団の団員達も加わり迅速に摘発が行われた。
当然クロードにも詳細な報告がなされ対応することとなる。
クロードはまずは店の被害を確認するために店に顔を出していた。
「お邪魔します。怪我とかは大丈夫ですか」
「王宮騎士団の方達がすぐに対応してくれたので大丈夫です。被害と言えば椅子と机が少しダメになった程度です」
「今後はこのようなことが起きないように動きますので安心してください」
「私達は明日の営業に向けてダメになった椅子と机を何とかします」
「任せましたよ」
店の現状を確認した後クロードの姿は衛兵の詰め所にあった。
「クロード卿もきたのか」
「イリウム団長。今回はありがとうございました」
「団員達が勝手にやったことではあるが責任者として顔を出す必要があってな」
「それで事件の詳細はわかりますか」
「闇ギルドから押収した資料ではある貴族が依頼主らしい」
「貴族が相手ですか。僕はどうしたらいいんですかね」
「衛兵では貴族に手を出せない。被害届を提出して王宮の判断待ちになるだろう」
そこに立派な鎧を身に着けた衛兵がやってくる。
「クロード卿ですね。今回は災難でしたな」
「王宮騎士団の方々が動いてくれて助かりました」
「残念ながら我々では黒幕と思われる貴族には何もできません。被害届を出しますか」
「今後このようなことがないように出させていただきます」
「それでしたらこちらの書類にご記入ください」
クロードは書類を受け取りスラスラと書き込んでいく。
「記入漏れもなしですね。受理いたしました」
「よろしくお願いします」
「今回の件で王宮から呼び出しがかかると思います。我々は何もできませんが王都でこのような事件を起こされて怒っております。ご健闘をお祈りさせていただきます」
「ありがとうございます」
出来ることは全てやったので寮に戻るクロードだった。
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