第145話

魔法の試験会場についたクロードは係の人の説明を聞く。


「ここでは的に向かって自分の得意な魔法を10発放ってもらいます。途中で魔力の尽きた方は申告してください」


クロードも列に並び他の受験者の魔法を眺める。


途中で魔力の尽きた者。


的から大きく外れる者など様々だ。


「それでは次の方」


クロードの番となり多重詠唱でファイヤアローを放つ。


ファイヤアローは的のど真ん中に全て命中して的を粉々にしてそれでも威力は落ちず試験場を守るための防御障壁を施した壁にあたり止まった。


「おつかれさまでした。次の試験に向かってください」




試験官は平静を装いつつあんぐりしてしまう。


多重詠唱を難なくこなし全て的のど真ん中に当て粉砕してなお威力は衰えず魔法障壁がなければ会場を破壊していたかもしれない。


とても子供が放ったものだとは思えない結果だった。




クロードは案内に従い筆記試験の会場へとやってきた。


試験会場には最後の追い込みと参考書を取り出して確認している受験者の姿も見受けられる。


「それでは時間となりましたので荷物をしまってください」


テスト用紙が配られ試験官の開始の合図で問題を解き始める。


クロードは拍子抜けした。


想定していた問題よりも簡単なものばかりだったからだ。


クロードは全問応え終わると念のため見直しをして間違いがないことを確認する。




ここで訂正しておくとあくまで9歳向けの試験であり初等科向けのテストである。


最後の方に中等部と高等部の問題が載っているがこれは解けないことを前提として載っているのである。




「そこまで。解答用紙を前に送ってください」


試験官の声に従い後ろから回答用紙を受け取り前の人へと渡す。


その後も問題なく試験問題を次々と回答用紙に書くクロードであった。




試験を終えたクロードは国王陛下に呼び出されていたので王宮へと向かっていた。


王宮に着くと使用人に案内され会議室へとやってきていた。


そこにはニーパス領の周辺の諸侯も集まっており国王陛下のポセイドスと宰相のリッチマンも椅子に腰かけていた。


「遅くなってすみません」


「よい。学園の試験が終わってくるのはこの時間になるとわかっておったからな。集まってくれて感謝する」


「皆さんもご存じの通りクロード殿ももうすぐ10歳です。これまでの功績と合わせて辺境伯に推したいと考えております」


「集まってもらったのは他でもない。今の領地では辺境伯を名乗るのに相応しくない。そこで諸君にはクロードの傘下に入るか天領に移転するかを考えてもらいたい」


こうしてクロードが辺境伯になるための調整会議がはじまったのである。

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