第122話

「繰り返しになりますが私がこの地の領主であり責任者は私です」


「そちらがそういう態度をとるならこちらにも考えがある」


男が手を上げるとシルフィード皇国の兵士達が前進してくる。


こちらもクロードを守るように騎士団が動き出す。


騎士団は一般の団員でも下級竜であるアースドラゴンの鱗で防具を統一され隊長格は中級竜であるグリーンドラゴンの鱗の鎧を装備している。


武器に関してはミスリルとオリハルコンの合金製だ。


「こんなことで騎士団の初陣を飾ることになって残念だ。機動力を生かして敵兵を撹乱させ離脱せよ。我に続け」


指揮官先頭の精神でクロードは先陣をきりそれに騎士団が追従する。




シルフィード皇国側の兵士は騎兵が迷わず突っ込んでくるのを見て槍衾を組む。


「槍衾は基本だけどここは通してもらうよ」


クロードはライトニングボルトを多重詠唱で唱えて槍を構えている兵士を痺れさせ陣形の崩れた所から突っ込んでいく。


騎士団もそれに続き騎兵突撃の勢いで敵陣に襲いかかる。


ミスリルとオリハルコンの合金製の武器は優れた斬れ味を見せその真価を見せつける。


クロードと騎士団は勢いのまま敵陣を抜けて再度の突撃に備えて隊列を組みなおす。


ドラゴンの鱗製の鎧は軽く頑丈であり団員達をしっかり守り脱落者はゼロである。


それに対してシルフィード皇国の装備は重い鉄製であり騎士団の装備とは比べるべくもない。


シルフィード皇国の兵士達は突撃の影響から混乱しているが各指揮官が必至に態勢を整えるがそこにクロード率いる騎士団が再度突撃してくる。




二度の突撃を受けてシルフィード皇国の兵士達は士気が下がっていた。


無事だったシルフィード皇国の兵士達は何とかその場に留まっていたが指揮官の撤退の指示により動けなくなった仲間の兵士をその場に残し引き上げていった。




「クロード様。歩兵部隊が到着しました」


「ご苦労様。悪いけど敵兵を捕らえて捕虜にしてくれ」


「了解しました」


「はぁ。王宮に知らせないわけにもいかないよな。悪いけど鷹匠で詳細を送ってくれ」


「直ちに手配します」


クロードは戦闘の処理を歩兵部隊に任せて騎士団と共に建築中の街に戻っていった。




鷹匠から報告を受け取った宰相のリッチマンは軍務大臣のルーシェンを呼び出していた。


「クロード殿からニーパスで建築中の新都市を巡ってシルフィード皇国と交戦したと報告があがってきた」


「手筈通り第三騎士団のイリウム卿を向かわせます」


「本格的な戦闘は向こうも望んではいないだろうが十分に警戒するように伝えよ」


「心得ております」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る