第121話
最初は領主様をこき使うなんてと言う遠慮もあったようだが作業風景を見てその考えは吹き飛んだみたいでクロードは様々な作業を手伝っていた。
「領主様。次はこちらの作業をお願いします」
「はい。すぐに行きますね」
作業はクロードの献身とそれに触発された集まった人々の手で急速に進んでいった。
シルフィード皇国の皇城にて緊急の話し合いが行われていた。
「現在我が皇国と国境を接するゲルマン王国のニーパスで街作りが行われている」
「貿易都市を作ると通達がきていたはずですな」
「近くを通った商人達が騒いでいたので人をやって調べさせたが立派な城壁に囲まれた城塞都市とのことだ」
「それは由々しき事態ですな」
「この都市が完成すれば皇国にとって看過できない事態になるのは火を見るように明らかです」
「貿易都市を作ると言いながらこんなものを作るとは許せん」
「では建設を妨害するために兵を差し向けるということでよろしいか」
「異議なし」
シルフィード皇国側の城壁は最優先で作られたため見晴らしがよく見張りの兵が配置されていた。
「シルフィード皇国の旗にあれは兵士か」
見張りの兵士は緊急事態を告げる鐘を鳴らす。
作業を続けていた人々に何事かと不安が伝播する。
クロードの元にもすぐに報告がやってくる。
「シルフィード皇国から兵士の一団がやってきます」
「騎士団と兵士を集めてください」
クロードは指示を出しつつも情報を求め城壁に上がる。
「領主様。我々はどうしたら」
「幸い相手の数はあまり多くないので騎士団を中心に兵士を配して野戦にて相対します」
城壁を駆け下り騎士団が集結している場所へと向かった。
招集のかけられた騎士団員達は訓練の成果が出ているのか装備を固めて全員が揃っていた。
「諸君。相手の目的はわからないがシルフィード皇国から兵士が向かってきている。これに対応するため出撃する」
「了解しました」
クロード達は馬に乗り建設中の街の近くに布陣して相手の反応を待つ。
一人の男性が進み出てきて大声で自分達の主張を告げてくる。
「我々は国境にこのような城塞が建築されることを許容できない。直ちに中止されたし」
クロードも前に出て返答する。
「それは内政干渉である。聞き入れるわけにはいかない。お引き取り願おう」
「このような場に子供が出てくるなど我々を馬鹿にしているのか」
「私はこの地を治める。クロード・フォン・プロミネンス子爵である。言葉には気をつけていただきたい」
「いいから責任者を出せと言っているのだ」
シルフィード皇国との交渉は暗澹たる雰囲気で幕を開けた。
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