第96話

無事に搬入をすませたディーン達は屋敷を去っていった。


並べられたアダマンタイト製の武器の前で話し合いは続いていた。


「この武器はどうするんだい?」


「何本か王家に献上する予定ですけど残りはどうしましょうか?」


「考えてなかったのかい。流石にアダマンタイト製の武器の扱いとなると難しいね」


「ミシリウス義兄様。よかったら一本どうですか」


「ありがたいけどいいのかい?」


「使って貰った方が剣も喜ぶと思いますし」


「そういうことなら一本頂いていくね」


「残りも将来的に考えればいいですし保管しときますね」


クロードはアイテムボックスに次々とアダマンタイト製の武器をしまっていく。


「ところで何かお話があったのでは?」


「クラウスも騎士になるだろ?それで王宮騎士団の一員となれば部隊を指揮することもある。軍略が不安だってことでクロードも交えてクラウスに手解きをって話になってね」


「そういうことならお供します」




場所を変えファールハイト兄様の部屋で盤を四人で囲んでいた。


クラウス兄様も基礎はできていたが問題は応用である。


「ふむ。死守しなければならない状況もあるだろうけどここは一旦下がるべきかな」


「そうですね。ここはこの部隊との合流を目指してそれから反撃にでるとよいのではないでしょうか?」


「敵前逃亡は罪だという人もいるけどそれで全滅しては守るべきものも守れないからね」


「今日はこれくらいにしておこうか」


「ありがとうございました」


「クラウス兄様。よかったらこれを」


「これは?」


「ファールハイト兄様と勝負する為に戦略と戦術をまとめたものです」


「ありがとう。後で読ませてもらうよ」


「そろそろ夕食の時間だし行こうか」




食堂に入るとリーシア母様とアリシア姉様にアイリス姉様がお茶を飲んでいた。


「あらあら。皆仲が良いのね」


「軍略について教えてもらっていました」


「クラウス兄様が軍略ねぇ。似合わないわ」


「そう言ってやるな。基礎はしっかり出来ているし頑張ってるんだぞ」


それぞれ席について父様が遅れて食堂に入ってくる。


「皆。待たせてしまったかな?」


「今揃ったところですよ」


使用人がワゴンを押して料理を運び込み配膳していく。


「今日のメインはステーキか」


「なんでもいいお肉が入ったとかで料理長が自信作だと言っていましたよ」


皆ワインを手に取り乾杯する。


クロードはもちろん果汁を絞ったジュースだ。


「自信作だというだけあって美味しいですね」


肉はとても柔らかく口に入れると溶けていく。


皆上機嫌で食事をすすめていくのであった。

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