第95話
夕食の後リーシアは娘達を部屋に呼んでいた。
「お母様。お話があるとのことですが?」
「ふふ。焦らないの。これよ」
リーシアは重厚な作りの箱を取り出し娘達の前で箱を開く。
「わぁ。見事な宝石のついた装飾品ですね」
「こんなにいっぱいどうしたのですか?」
「クロードが宝石を持ち帰ってくれて出入りの業者に加工を頼んだのよ」
「どこで手に入れたのかは聞かない方がよさそうですね」
「私。これとこれが欲しいです」
「私はこれね」
女性にとって社交の場は戦場である。
装飾品一つとっても家の体面を表すため着飾る装飾品はいくらあっても困らない。
その後も相談しながらどれを貰うか話し合う女性陣だった。
家族が揃って数日後プロミネンス侯爵家を訪ねてきた冒険者達がいた。
フラン連合王国のミースールに所属する白桜のディーン達である。
「クロード様は在宅ですか?」
「クロード様に御用ですか?確認してまいりますのでしばらくお待ちください」
使用人に話を聞いたクロードは読書を中断して玄関へと向かった。
「ディーンさん達じゃないですか。お久しぶりです」
「ドワーフの爺さんが張りきってな。頼まれてた物持ってきたぜ」
「ここではなんですから入ってください」
「お邪魔するぜ」
クロードは応接室に案内する。
「それにしても~。クロード君ってば本当に~お貴族様だったんだね~」
「かなり大きいお屋敷なのでびっくりしましたよ」
使用人が人数分の紅茶を給仕して下がっていく。
「それじゃ。イリヤ出してくれ」
「だすよ~」
イリヤがアイテムボックスからアダマンタイト製の剣と槍を次々と取り出して並べていく。
クロードは品質を確認して問題ないことを確認する。
「いい腕ですね。想像以上です」
「ドワーフの爺さんにも伝えておくぜ」
そこに兄様達が連れだってやってくる。
「クロード。お客人かい?」
「ファールハイト兄様。クラウス兄様。ミシリウス義兄様。こちらフラン連合王国の冒険者の白桜の皆さんです」
「ディーンです」
「ミウスと申します」
「イリヤだよ~」
「ルイスです」
「これはご丁寧にファールハイトと申します」
「クラウスです」
「ミシリウスだ」
「それにしてもこの武器は一体?」
「アダマンタイト製の武器です。ミースールに加工できる人がいたので頼んでいたんです」
「なるほど。それにしてもシルフィード皇国をよく通過できたね」
「アイテムボックスの中身まではわかりませんからね。そこで白桜の皆さんに運んで貰ったんですよ」
「A級冒険者を運び屋代わりに使うなんてクロードぐらいだと思うけどな」
「ランクというより人柄を信用してですから」
部屋の中に笑いが満ちるのであった。
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