第30話
道中何事も起きず無事馬車は屋敷についた。
寝ていたクラウス兄様とアリシア姉様とアイリス姉様は目を覚ましたのでこのまま父様に帰還の挨拶に向かうことになった。
ファールハイト兄様が代表して扉をノックして書斎に全員で入る。
「父様。無事ダンジョンから帰ってまいりました」
「クロードもついていくと聞いて心配していたけど全員無事帰ってきてくれてうれしいよ」
「報告があります。ダンジョンでゴブリンロードと遭遇しました」
「それは一大事だ。すぐに討伐部隊を編制しなければ」
「父様。落ち着いてください。クロードが単独で討伐しました」
「単独で討伐しただと?確かにクロードのステータスは凄まじいが本当なのか?」
「クロード。魔石を父様に」
ファールハイト兄様に促されアイテムボックスからゴブリンロードの魔石を取り出し机の上に置く。
「これは確かに過去に討伐されたゴブリンロードの魔石と同じものだ。正直信じられぬと言いたいが物証があるということは本当なのだな」
「問題は王国への報告です」
「ファールハイトはどのようにすべきだと考える?」
「馬車の中でクロードには話しましたが正直に報告すべきかと」
「そうだな。クロードの年齢を考えれば政治の世界に足を踏み入れさせたくはないが工作をしても疑問を覚え調べる者がいれば露呈する。王国上層部に不信感を覚えられる危険を考えれば正直に報告すべきだ」
「王国としては特級戦力であるクロードを取り込みたいと考えるはずです」
「そうなるだろうな。だが理不尽な対応をするようであれば断固上層部に反対する」
「父様。波風を立てないようにうまく立ち回ってきたのによろしいのですか?」
「クロードは優秀だ。並大抵のことならなんとかしてしまうだろう。だが親として子を思う気持ちのほうが強いのだ」
「父様。兄様。心配してくれてありがとうございます」
「私達も力になるから何か困ったことがあったら遠慮なく言うのよ」
アリシア姉様とアイリス姉様も頷いてくれる。
前世では働きもせずnordic war onlineに熱中していた俺は両親との仲はいいとは言えなかった。
だが今世の家族はそんな俺を評価し守ってくれようとしている。
確かな家族の絆を見せられて嬉しかった。
「話はここまでにしよう。疲れている中ご苦労だったね。ゆっくり休んでくれ」
父様の書斎を後にして自分の部屋に向かう。
服を着替えてベッドにゴロリと横になる。
思い浮かべるのはゴブリンロードとの戦闘だ。
ゲーム時代は何度も討伐してきた。
攻略法を間違えなければ他のボスモンスターにも通用するだろうという自信が手に入った。
そんなことを考えながらいつの間にか眠りに落ちていた。
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