優しいウソならついてもいい?ねぇ…もう家族ごっこやめにしない?

猫の集会

家族って…

 オレの名前は、壮太そうた

 

 そしてオレの隣でアイスを頬張りテレビをみているのが妹の桜子さくらこ

 

 

 この桜子がとにかくかわいい。

 いつでもどこでもお兄ちゃんお兄ちゃんってついてくる。

 

 でもね…お兄ちゃん…お兄ちゃんね…ほんとのお兄ちゃんじゃないんだ。

 

 桜子が物心つく前にお兄ちゃんになったからさ…。

 

 オレは、おとうさんの連れ子だ。

 

 

 

 桜子は、いつも純粋な眼差しでオレをみてくる。

 

 だから、オレもお兄ちゃん役を必死にこなした。

 

 オレはお兄ちゃん…お兄ちゃん…

 

 桜子に

「お兄ちゃん大好き」

 って、無邪気な笑顔を向けられるたびにオレは胸が締め付けられる。

 

「お兄ちゃんも桜子が大好きだよ」

 とこたえるけど…

 

 でもね、桜子。

 オレの大好きは…さ…

 

 おとうさんとか、おかあさんに向ける大好きとは、違うんだ。

 

 どんどんオレは桜子を好きになっていくんだ。

 

 ダメだってわかっている。

 

 オレたちは、家族なんだし…

 両親もオレたちを仲良しきょうだいだって思っているのに…

 

 それに、桜子はおとうさんをほんとうの父親だと思っている。

 

 だから…言っちゃダメなんだ…

 

 

 

 

 

 そんななか、オレたちはどんどん大きくなっていった。

 

 もちろん…オレの気持ちも。

 

 …

 

 桜子は、高校生になってもお兄ちゃんお兄ちゃんとオレを慕ってくれる。

 

「お兄ちゃん、今度の日曜日デートだよね?忘れてないよね?」

 無邪気な妹。

 

 …

 

 

 正直もう…辛い。

 

「なあ、桜子」

「なに、お兄ちゃん?」

「そろそろ、お兄ちゃんとばっかりじゃなくて彼氏でもつくりなよ」

「イヤダァ、お兄ちゃんが彼氏だからっ」

 そういうと桜子は、にっこりとした。

 

 …

 

「ごめん。桜子、今度の日曜日バイト入ったんだ」

「えー…、バイトかー。なら仕方ないね。じゃあ、お詫びのハグして!」

 

 …

 

 ギュー

 

「よろしい。」

「うん。ほんとごめんな。」

 

 …

 

 あー、なんでオレたちはきょうだいなんだよ。

 

 

 正直、妹に早く彼氏ができればいいのにって思う。

 

 そして、オレからどんどん離れていってくれれば…そしたら、オレも気持ちが離れるかもしれないし…。

 

 …

 

 それよりも、オレから離れよう。

 

 オレはわざと遠くの大学を選び、一人暮らしをすることにした。

 

 桜子は、泣いてイヤだと言っていたがもうこれしかなかったんだ。

 

 ごめん。桜子…

 

 まぁ離れ離れになったとはいえ連絡は、よくしている。

 

 急に離れ離れで、なんの音沙汰もなしじゃね…。

 

 でも、それにしても連絡が多すぎるよ…

 さ来週おかあさんの誕生日だから帰る予定なのに…

 

 

 

 そして二週間後

 

 家に帰るなり桜子が抱きついてきた。

 

「お兄ちゃんおかえり‼︎」

 って目を輝かせながら。

 

「桜子ー、いい子にしてたか?」

 抱きつく桜子にあたまナデナデしながらいうと、

「んもー、お兄ちゃん!わたし高校生なんだから子ども扱いしないでっ」

 とぷりぷりとしていた。

 

 お兄ちゃんに抱きついてくる時点でまだ子どもな気がするけどなぁ…。

 

 ほんと…ブラコンになってしまったのは、オレのせいかもしれないな。

 

 

 そんな妹に手を引かれ部屋に入るとお誕生日会の準備が華やかにされていた。

 

 二時間のお誕生日会は、あっという間に過ぎてしまった。

 

「じゃあ、オレそろそろ帰るわ」

「うん。今日は、ありがとうね」

 とおかあさんと話していると桜子が今にも泣きそうな顔で、

「今度は、いつ来る?」

 と聞いてきたから、

「また、すぐにくるよ。」

 と返事をすると嬉しそうに

「うん!待ってる‼︎」

 と笑顔が戻った。

 

 

 桜子は、とてつもないブラコンになってしまった。

 

 

 大学生になったオレは、桜子が寂しがるのもあって、たまに家に帰っていた。

 

 家に帰ると桜子は、オレにべったりだ。

 

 嬉しいけど…やっぱり複雑だ。

 

「ねぇ、お兄ちゃん…」

「なに?」

「夏休みお兄ちゃんちに泊まってもいい?」

 

 …

 

 あー…

 

「数日ならいいよ。夜花火でもしようか」

「うんっ‼︎」

 

 

 

 

 そして夏休み。

 

 ワクワク顔の桜子を駅まで迎えに行った。

 

 遠くからでもわかる桜子。

 オシャレなワンピースをきて風に髪をなびかせて立っていた。

 

 彼氏とこれからデートかよってくらいの浮かれ顔だ。

 

「おっす、桜子」

「あ、お兄ちゃん!」

 

 大きなバックを持ちオレに駆け寄ってきた。

 

 ハハッ

 

「なに?お兄ちゃん?」

「やっぱり桜子は、昔から変わらないなぁって思ってさ」

「えー、わたしかわったよ?ほら、どう?」

 とスカートをひらひらとさせた。

 

「うん、そうだな」

 思わず抱きしめたくなったけど、グッと堪えて桜子のバックを持った。

 

「ありがとう。」

「どういたしまして。さ、姫ご案内いたしますのでついてきてください」

「はーい」

 と、元気よくついてくる桜子。

 

 

 そして一緒に花火をした。

 

 キラキラな花火をみて、昔と変わらず目を輝かせている桜子がやっぱり愛おしかった。

 

 それから二人で夜ご飯を食べてゆっくりとしていたんだけど…

 

 

 いきなり泣き出した桜子。

 

 ⁉︎

 え、何⁉︎

 

「どうした桜子!お腹痛い⁉︎大丈夫?」

 慌てるオレに桜子は、

「つらい…」

 と言った。

 

 え?

 

「どうつらいの?救急車呼ぼうか?」

 

 …

 

「ううん。…そうじゃないの…。家族ごっこ…もうやめたい…」

 

 え…

 

 桜子…

 

「もしかして…桜子…」

 

「うん…。ずっと前から知ってたよ。おとうさんもお兄ちゃんも血が繋がってないって」

 

「…そっか」

「うん。だからお兄ちゃん、もう無理してお兄ちゃん演じなくていいよ?わたしも妹役辞める。」

 

 …

 

「妹役…か。ごめんな、今までつらいおもいさせてさ。」

「ううん。わたしが勝手に演じてただけだから…。お兄ちゃ…ううん。壮太くん」

「あ、はい…」

「わたしは、妹役を辞めてほんとうの家族に壮太くんとなりたいです。」

「え、それって…」

「わたしをお嫁さんにしてほしい…」

「えっ、桜子…もしかして桜子もオレのこと好きでいてくれたの?」

「うん。ずっと」

 

 オレは桜子をギュッと抱きしめた。

 

 そして、

「結婚しよう」

 とプロポーズをした。

 

 オレに抱きしめられながら桜子も頷いていた。

 

 まだ、桜子は高校生だから婚約ってことになるけど。

 

「なぁ、桜子」

「なに?そうちゃん」

「好きだよ」

「わたしも好き」

 

 チュー♡

 

 オレたちは、家族ごっこをやめた。

 

 

 次の日、両親にきちんと話をした。

 

 そしたら、あっさりと祝福してくれてなんか拍子抜けしてしまった。

 

 

 

 そして数年後、オレと桜子はほんとうの家族になったのでありました。

 

 

 おしまい♡

 

 

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