【SS】30 minutes instant radio

モルフェ

1/3

ジャジャーン


男「ladies and gentlemen, boys and girls」


男「30 minutes instant radioの時間だぜ!!」


男「みんないい子にしてたかな?」


男「楽しみで楽しみで眠れなかった君も、今日初めて聞いた君も、楽しんでいってくれよ!!」


~♪~


男「今日のオープニングナンバーはこちら!!」


男「ゲリラライブで強烈なデビューを飾った『サンライト・ダガー』のアルバムから一曲」


男「【メンズ・ガンズ・テリオス】だ!! 脳髄まで痺れちまえ!!」




~♪~


男「くはー」


男「ノリノリですねえ、マジで、いーですねえ」


男「こう、体にビリビリッとくるっていうか」


男「神経に稲妻が走る感じがたまらないですね」


男「さ、ではアウトロをBGMに、おれの話でもしましょうか」


~♪~


男「昨日、おれがよく行くスーパーの店員にお勧めを聞いたんですよ」


男「するとなんて答えたと思います?」


男「『テメーが先週買ってったものと同じだよ!!』だって!!」


男「お得意様だからって、ちょっと調子乗りすぎてると思いませんか!?」


男「はっはっは!!」




男「ん、じゃあ次の曲いきましょう」


男「えーと……」


男「じゃあ、これ」


男「ロック界の大御所『テレビジョン・ポップス』の名曲」


男「映画の主題歌にもなった【ルージュ・ライフ】だ!!」


~♪~


男「あーこの曲マジで懐かしい……」


男「ここ!! ここね!! このサビの盛り上がり!!」


男「ヒロインが別れを惜しみながら瞬間移動するシーンね」


男「泣いたなあ……」




男「この曲がヒットしたのって、おれがまだ高校生とかの頃だから……」


男「もう12年くらい昔なんですねえ」


男「12年って、おいおい……」


男「あー……」


男「歳とったなあ……」


男「……」


男「っと、感傷に浸ってしまった」


男「さて、次の曲は……」




~♪~


男「そろそろお別れの時間が近付いてきました」


男「明日もこの時間に、チャンネルは555.00でよろしく!!」


男「さ、では今日のラストナンバー」


男「ポップスの代表格『ケイト & ルーカス』から一曲」


男「【ホイットニー・ミュータント】」


~♪~


男「あー癒されますねえ」


男「癒されながらお別れです」


男「また明日!!」




ガチャリ


男「ふう」


男「ああ疲れた」ゴキゴキ


男「明日はなにをかけようかなあ」ガチャガチャ


男「この辺にしとくかあ」ガチャガチャ


男「そうそう、今日もあれ、聴いとくか」


~♪~


男「んー」


男「生き返るなあ……」


男「早くこれ、誰かに聴かせてえなあ……」




~♪~


男「っと、そういえば洗濯もんが溜まってたな」


男「いい天気だし、久しぶりに洗濯でもするか」


……


男「うっぷ!! 臭!!」


男「なにこれ!! おれの臭いなのかこれ!?」


男「新しい生命体でも誕生してんじゃねーだろうな!!」


男「お前はもう捨てる!! これも捨てる!! てい!!」ポイポイ


男「……久しぶりに服でも見に行くか」




……


カランカラン


男「いよーっす、いい服入った?」


店員「……」


男「んだよ、しけた顔しちゃってえ」


男「あ、今日は服も見に来たんだけどメインはパンツね、パンツ」


店員「……」


男「いやあ、洗濯さぼってたらすげー臭いしやがってさあ」


男「またこれ大量にもらってくからねえ」


店員「……」


男「はっはっは!!」


男「んだよ、見せる相手くらいいるっつーの!!」


男「毎日が勝負パンツだっつーの!!」




男「そろそろ涼しくなってくるから長袖もほしいところなんだけどねえ」


男「なんかお勧めある?」


店員「……」


男「あ、これ?」


男「え、お前の趣味これ?」


男「……」


男「ないわー」ケラケラ


店員「……」


男「んでもまあ、お前のお勧めだったら、着てみようかな」


男「はっはっは!!」




―――――


ジャジャーン


男「ladies and gentlemen, boys and girls」


男「30 minutes instant radioの時間だぜ!!」


~♪~


男「今日のオープニングナンバーはこちら!!」


男「『ブリーズ・ウィズ・ザ・ドーナツ』からデビュー曲のこちら!!」


男「【100%ドーナツ】だ!! 寒い歌詞が癖になるぜ!!」


男「って、おれ、言いすぎ?」


男「でもその寒さが持ち味!! 堪能してくださいな!!」




~♪~


男「そういや昨日のことなんだけど、聞いてくれますか」


男「久しぶりに洗濯でもしようと洗濯ものをあさってみたらすげえ臭い!! もうほんとひどい!!」


男「こりゃダメだって新しいのを買いに行ったんだが、店員に『見せる相手いねーだろ』って笑われたよ」


男「まあ確かにね? ここにはおれしかいねーし見せる相手も当然いないんだけども」


男「でも男としての意地がね? あるわけじゃない?」


男「やっぱお父さんみたいなブリーフで過ごすには抵抗があるわけじゃない?」


男「男は黙ってボクサーでしょう」


男「似あう? どう?」


男「って見えねーか」


男「はっはっは!!」




男「あ、もうそろそろ涼しくなってくる季節だしね、長袖も新調しました」


男「これも店員のお勧め……」プププ


男「いやあこれちょっと、どうよ」プププ


男「センスあるのかないのか……」


男「ありすぎて逆にヒく、みたいなね」


男「まあ見せる相手いませんけどねー!!」


男「おれのイカしたシャツが見たい人は××放送局まで!!」


男「ってか」




~♪~


男「では今日もここでお別れ」


男「明日もこの時間に、チャンネルは555.00でよろしく!!」


男「ラストナンバーはパンクバンド『ファイナル・ライン』で」


男「【メイクアップ・ラミネート】です」


~♪~


男「あーやべ」


男「アツイ、これはアツイね」


男「こういう激しい曲でお別れってのもアリだね」


男「んじゃあまた明日!!」




ガチャリ


男「ふぅ」


男「30分なんて、あっという間だなあ」


男「もっと長くしときゃあよかった」


男「……」


男「それもアリだなあ」


男「あ、でもあんまり長くは電力が持たないか」


ジジジ……


男「あん?」


ジジジ……


男「あれ、放送は止めたはず……」


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