番外編 シリン


 これはラウディオとリヴィアが出会う5年以上昔。


 要塞都レガリアが健在であり、エルフェンリル家がまだリマリア王国の辺境伯だったころのお話。






 ――天蓋のあるベッドから、チリンと鈴の音が響く。


 5人以上が余裕をもって眠れそうなベッドと、庶民にとっては広間のように思えるほどの広さの部屋。


 その広さからは考えられない程、静寂に満ちた部屋からは、鈴の余韻と、衣擦れの音だけが聞こえていた。


 そして、鈴がなってたった5秒。

 その部屋の出入り口とは違う扉が開かれた。


 その扉は部屋の主人の元に行けるように供えられた扉であり、扉の向こうには主人に仕えるメイドの部屋になっている。


 扉から現れた白髪のメイドは、扉を音を立てずに閉じると、カーテンがかけられたベッドに頭を下げた。


「おはようございます、奥様」

「おはよう、シリン・・・


 カーテンが開かれ、そこにいたのは青空のように澄み切った青い髪と瞳を持つ清廉な女性。


 主人の姿が見えると、シリンはその女性に近づく。

 シリンの主人はベッドから立ち上がって両手を広げ、静かに目を閉じた。


「では、失礼します」


 シリンは主人のネグリジェに手をかけると、脆い宝石に触るような手つきで、しかし素早くネグリジェを脱がした。


「本日は青と白のどちらにいたしましょう?」

「そうね、シリンはどっちがいいと思う?」

「……やはり青でしょうか、奥様の色でもありますから」

「そう? でも今日は白にするわ」

「承知しました」


 自分の意見が採用されなかったことに文句を言うまでもなく、むしろ少し嬉しそうにも見える。


 青はエルフェンリル家の象徴ともなる色であり、主人の色でもあるが、白はシリンの色でもあるからだ。


 ショーツ、ブラジャーと下着から全ての着替えをシリンは行い、そして続くように白いワンピースのように上下が繋がった衣服を手に取った。


 ドレスのように華やではないが、それでも白鳥の羽根のように美しく、女性の磨かれたボディラインがわかるようになっている。


 女性の雰囲気と相まって、まさにこの女性のための服と言うに相応しいだろう。


 そして、数分もかからずに女性は自らの着替えが終わると、ベッドの近くにある椅子に座った。


「ありがとう、シリン」


 主人が脱いだ衣服の整理、部屋のカーテンと窓を開き、シリンは主人が座った椅子に素早く戻る。


 熟練されたその動きは主人が椅子に座り一息つくまでに終わり、シリンは主人の元まで戻るとテーブルに置かれたティーポットの蓋をツンと叩いた。


 すると、ティーポットの底が淡く輝き、湯気の立ったお湯が泉のように湧き出てくる。


 これは魔法道具の一種であり、ポットの底にお湯や水を生成する魔法陣が仕組まれているのだ。


 魔法道具の一種という事で値は張るが、それくらいは辺境伯の彼女にとっては高いと言う程のものでは無い。


 10秒もしないうちにティーポットの中がお湯で満たされると、シリンは主人のために紅茶を淹れ始めた。


 主人はその動作をなぜか楽しそうに眺めており、広い部屋に紅茶を淹れる音だけが響く。

 だが、その静寂は勢いよく開かれた扉の音によって破られる。


「お母様! おはようございます!」

「ニア、扉は静かに……お母様、おはようございます」


 メイド用ではない部屋の扉を開き、勢いよく入ってきたのは、主人の娘であるニア。


 そしてニアの開いた扉を閉じ、小走り気味にニアの後を追いかけるのはニアの姉であるリヴィアだった。


 2人は椅子に座る自分の母、ステーノに朝の挨拶をする。


「シリンお母さんも! おはよ!」

「おはようございます」

「もう……勢いよく扉を開けるなんてはしたないわよ?」

「ご、ごめんなさい! 私は止めたのだけど……」

「ごめんなさい! お母様!」


 頭を下げるリヴィアに、言葉ではそういいながらも勢いよくステーノに向かって飛びつくニア。


 ステーノは小さく「キャッ」と声を上げながらも自分へ飛びついてきたニアを受け止め、笑みを浮かべながら膝の上に座らせた。


「もう、本当にわかっているの?」

「もっと強く言わないとニアはわかってくれないです」

「そんなことないもん!」

「いいえ、そんなことあります!」

「喧嘩は駄目よ? 仲良くね、2人共」

「お姉様とニアは仲良しだよ!」

「……わかりました」


 リヴィアはため息をつかずとも、少し呆れたような様子でステーノと反対側の椅子に座る。


 すると、シリンはリヴィアとニアの分まで紅茶を淹れ、計3つのティーカップをそれぞれの前に置いた。


「あれ、シリン、3人分も紅茶をつくっていたのですか?」

「はい、お2人がこの部屋に近づいているのは分かっていましたので」

「さすがシリン……!」

「恐れ入ります」


 そう言って頭を下げるシリンだが、一瞬頬が緩む。

 敬愛する主人の娘に褒められ、一瞬だが感情が表に出てきたのだ。


「ねえねえお母様! 今日は何して遊ぶ!? ニアはね、ニアはお庭でかけっこがしたいな!」

「ごめんなさい、今日は用事があって遊べないのよ」

「ええぇ……お母様と遊びたいのにー!」


 ニアは「むぅー」と唸るように声を上げ、足をジタバタと動かした。


 ステーノはその姿に泣きそうなほど悲しい顔をしているが、しかし自分の都合を譲れるわけでもない。


 今日のステーノの用事は辺境伯としての大事な仕事の1つであり、さすがに断る事はできないのだ。


「そうね……今日はシリンに遊んでもらいなさい」

「奥様!?」

「「シリンお母さんが!?」」


 ステーノの言葉に、シリンだけではなくニアもリヴィアも驚きの声を上げた。


 シリンはステーノ、リヴィア、ニアの専属メイドではあるが、普段はステーノに付きっ切りだ。


 リヴィアとニアをないがしろにしているわけではないが、シリンがいない間は他のメイドが2人のお世話をする事になっている。


 シリンがステーノから離れることは滅多になく、就寝時以外はステーノと共にいると言っていい。


 これはシリンの願いを汲み取ったステーノの意向であり、シリンは立場的には一介のメイドだが、普通のメイドとは少し外れた立ち位置にいるメイドだった。


「私は奥様のメイドであり、護衛でもあります! 傍を離れるわけにはいきません!」

「でもねぇ、今日は外へ行くわけではないのだし?」

「ですがっ!」

「それにもう娘達は貴方と遊ぶ気満々ですよ?」


 ステーノにそう言われ、シリンは2人を見る。


 ニアはもちろんの事、最近はニアの面倒を見る事で手がかからなくなったリヴィアまで銀色の瞳を輝かせていた。


 立場もあるが、シリンは2人と遊んだ経験は少ない。

 それも、かなり昔の事だ。


 誇らしい事に“お母さん”と呼んでくれてはいるが、ここ数年はステーノの護衛として付きっきりだったため、そういった機会は1度もなかった。


 そのシリンが、自分達と遊んでくれる。

 これにはリヴィアも銀色の瞳を輝かせずにはいられなかった。


 シリンとて敬愛する主人の娘である2人には甘く、ステーノ程ではないにせよ敬愛の念を抱いている。

 だからこそ、この提案を断ることはできなかった。


「わ……わかりました、では、代わりの者はこちら手配しておきますので」

「よろしくね、シリン」


 ステーノの笑顔に向けられ、シリンは心の中でため息をつきつつリヴィアとニアと共に部屋を去っていった。


 だが、その顔にはリヴィアとニアと遊べる事への隠しきれない喜色が現れていた。


 ――その後、シリンが一緒に遊んでくれるという事で、2人は果てしないほどはっちゃけ遊んだ。


 かけっこ、鬼ごっこ、かくれんぼ、ブランコ等々……。

 子供の小さい体のどこにこれ程の体力があるのかと不思議になる程、全力で遊ぶ2人にシリンは付き合わされた。


 「遊んでいるときの子供の体力は無限」とは誰が言った言葉なのか。

 最後の方、シリンはメイドにあるまじき姿で庭の上に倒れ、息を切らしていたという。



 ◇



「ふふっ、貴方のあんな姿を見たのはいつぶりだったかしら? いいものを見ました」

「奥様……見ていたなら止めてください」

「いいじゃない? あの子達も楽しそうだったから」


 多種多様な遊びを遊びつくし、疲労で地面に手をついても「次! 次は何する!?」「シリン! 私はもう一度――!」とニアとリヴィアは尽きることなくはしゃぎ続けた。


 遊ぶ、という行為を恐ろしく感じたのは初めてだ、とシリンは苦笑いを禁じえなかった。


「いいものだわ、貴方が慌てる姿は懐かしいわね」

「私にそのような時はありません」

「昔、私の部屋がわからずあちこちを右往左往して、料理で食材を焦がして、掃除で部屋を水浸しにしていたのは誰だったかしら?」

「スっ、ステーノ様!」


 思わず奥様呼びではなくなったシリンをクスクスと笑うステーノに、シリンは顔を赤らめる。


 シリンがステーノのメイドになったのは、ステーノが結婚するより前だ。


 メイドになった時こそメイドとしての仕事を何もできなかったシリンだが、日々多くの物を吸収し瞬く間にメイドとしての仕事を完璧にこなすまでになった。


 そのため今日のような姿はとても懐かしかったのだ。


「あらあら、つい口が滑ってしまったわ」

「はぁ、もう寝る時間です、今日はこれで失礼します」

「ええ、おやすみシリン、今日はありがとう」


 ステーノに頭を下げ、シリンは出入り口用の扉から部屋を出ていった。


 主人はこれで今日を終えて眠りにつくが、シリンにはまだやることが残っている。

 これを終わらせなければ眠りにつく事が出来ない。


 シリンは夜の闇ですっかり暗くなり、暗闇にしか見えない廊下を目印もなしに歩く。


 しかし、しばらくするとシリンは廊下で立ち止まった。

 明かりが灯っていない廊下が目的地であるように。


 なぜここで立ち止まったのか。

 それは、シリンの目的がステーノの部屋と・・・・・・・・の距離・・・だったからだ。


 ここなら多少音を出しても大丈夫と判断したシリンはゆっくりと振り返る。


「ッ…………!」


 振り返ったシリンの表情は、ステーノと話していた時からは考えられないほど無機質で、感情がないと思えるほど冷めていた。


 そのあまりの表情の変化に、シリンの後を隠れ・・・・・・・・て追っていた者・・・・・・・は小さな悲鳴をあげてしまった。


「稚拙な隠密ですね、姿を現したらどうですか?」

「……やっぱ、気づかれていたのか」


 現れたのは、異質な圧を放つ精悍な男性。

 その顔は甘いマスクの2枚目であり、蕩けるような笑顔を浮かべている。


 しかしこの闇の中で見えるその顔は、美しさよりも得もいわれぬ不気味さが宿っていた。

 そして何より目を引くのは、その手に持った湾曲したククリと呼ばれる剣だ。


「なるほど、『顔剥ぎ』ですか」

「この闇の中で俺を見破るかよ、油断出来ないな、さっさとあんたの顔を貰わないと仕事がこなせないんだが……」


 顔剥ぎと呼ばれるこの男は仕事暗殺をこなすにおいて、対象と近しい人間の顔の皮を剥ぎ、それを魔法で自分の顔とする事でスムーズな暗殺を行う。


 それ故にこの名前がついたのだ。


 そして、自分の顔を剥ぎこのエルフェンリル家の人間を害そうとしている事を口にした顔剥ぎに対し、シリンは一言。


「下衆め」


 小さなその言葉をキッカケに、顔剥ぎはククリを逆手に持って地面を這うようにシリンヘ飛びかかった。


 一体その動作を何千、何万と繰り返してきたのか。

 無駄のない動きで振り抜かれたククリはシリンの首を捉える。


 瞬きの後、シリンの首は宙に浮かぶだろう。


 しかし、シリンはその暗殺者の動きを超える速さで太ももに隠していたナイフを取りだした。


 ククリの3分の1の大きさもないそのナイフを、シリンは腕が消えたと思える程の速さで振るう。


「っ……!」


 そして、その一撃で暗殺者のククリ刃は金属がぶつかった音すら立てずに綺麗に斬り飛ばされた。


 今まで数えきれない程の仕事暗殺を共にこなしてきたククリがたった一度で斬り飛ばされた事に、さすがの顔剥ぎは驚かずにいられない。


 しかし顔剥ぎはその積み重ねた経験によってすぐに思考を切り替え、2本目のククリを抜こうと腰に手をかけた。


 それは幾度も戦いをこなしてきた経験と、積み重ねてきた技術への信頼が為せる精神の切り替えだ。


 だが、その一瞬の精神の切り替えに要した時間さえ、シリンにとっては止まっているのと同じだった。


「この屋敷で血を残してもらうと困りますからね」


 それは手段を選ばなければ簡単に殺せるという意。


 シリンにとって顔剥ぎを殺すチャンスは相対する前から数百もあり、それをしなかった理由は「屋敷を下賎な者の血で汚したくない」「ステーノの部屋から離れたところで処理したい」というものだった。


 だからステーノの部屋から離れた場所で顔剥ぎに声をかけ、血を残さないための時間稼ぎとして武器を破壊した。


 そしてこの時、シリンの準備は整った。


 2本目のククリを抜き放ち、コンマ数秒の世界で顔剥ぎは二撃目を繰り出す。


 先程のシリンの防御を頭に入れつつ、防御に動けば即座に軌道をずらせるようにしながら。

 だが、それら全ての思考は無駄だった。


崩壊の拳アブソリュート・ゼロ


 それは、体を原子レベルに崩壊させる魔法ではない力・・・・・・・


 シリンは首へ迫るククリをなんなく避けると、顔剥ぎの頭を握りつぶすように掴んだ。


 その瞬間、顔剥ぎの衣服や武器だけを残し、顔剥ぎは跡形もなく消えさった。

 血も、臓物も、髪も、なにもかも残さず崩壊したのだ。


「……さて、刺客を送って来たのは本日訪れた貴族の方でしょうし、残った衣服や武器からも顔剥ぎの犯行だと示すことができます、旦那様の元へ持っていきましょう」


 シリンは何事もなかったかのようにナイフを太もものケースに戻し、顔剥ぎのククリと衣服を拾いあげた。


 すると、そのタイミングで小さな4つの足音と共に小さな蝋燭の灯りが曲がり角を曲がってシリンへ近づく。


「リヴィア様、ニア様……、このような夜更けにどうされたのですか?」


 眠たそうに目を擦りながらも、もう片方の手で姉であるリヴィアの手を握ったニアと、そのニアの前を歩くように蝋燭の灯りを持ったリヴィア。


 いつもなら2人はすでに眠りについている。

 それなのにこのタイミングで現れた事に少し驚いたのだ。


 もし2人がもう少し現れるのが速ければ、今の処理を見られていたかもしれない。

 シリンは心の中で「意識をあの下衆にむけすぎましたね」と少し反省した。


「ん〜……、おトイレ行ってきたの」

「シリンはお仕事ですか? その刃物と衣服は……」

「こちらは旦那様に渡す仕事道具です、他の貴族の方にお渡しするものなのですよ」

「お仕事お疲れ様です、これからお父様のところに?」

「はい」

「お父様の所に……」


 そう言うと、リヴィアは少し羨ましそうな顔でシリンの持つ仕事道具を見た。


 シリンはそのリヴィアの表情の意味を察すると、屈んで2人の目線に高さを合わせ、いかにも困っていますと言いたげな表情を見せた。


「そうでした、お嬢様、私この暗闇の中で蝋燭を持ってくるのを忘れてしまったのです、ですので少し遠回りになりますがついてきてもらえませんか?」

「えっ」

「申し訳ございません、お願いできないでしょうか?」

「お父様のところ!? ニア行きたい!」


 眠たげな顔をしていたニアがシリンの言葉に反応し、シリンへ抱きついた。


 そして、リヴィアは顔を赤らめながらもにっこりと笑って頷いた。


「そ、そうですね、暗闇の中を灯りを持たずに歩くのは危ないですよね」

「はい、どうかよろしくお願いします」

「分かりました、ではお父様の元へ行きましょう、それで……その後は一緒に部屋へ行ってくれますか?」

「はい、もちろんです」


 そして、シリンはリヴィアから蝋燭を受け取ると、2人の歩幅に合わせて歩き出し、まだ仕事中のリヴィアとニアの父親の部屋へ向かう。


 リヴィアとニアはシリンの両隣を歩き、メイド服の端をつかんだ。


「シリン、今日は遊んでくれてありがとう」

「はい、私も楽しませていただきありがとうございます」

「ニアも! 楽しかったよ!」


 そうして3人は蝋燭の炎で照らされた廊下をゆっくりと歩く。


 親子のようにも見える3人はその後、父親の部屋に行って軽い会話を交わした後部屋に戻った。


 そして、ニア、ステーノの2人が並んで眠る姿を見届け、シリンは今日の仕事を終えたのだった。



 ◇



「リン……シリン? どうしましたか?」

「あっ、申し訳ございません」

「皆の紅茶を淹れてくれる?」

「かしこまりました」


 そこは、リマリア王国の王都。

 その住宅街の中にある、少し大きい程度の一軒家。


 かつてエルフェンリル家が暮らしていた屋敷とは比べると小屋のような家だ。


 その家のリビングで、シリン、ステーノ、ニア、エルドは食事をとっていた。


「貴方が呆けるとは珍しいですね」

「いえ、少し昔のことを思い出していまして……」

「あら、そうですか」


 ……今やエルフェンリル家の威光は失われ、残った従者はシリン1人のみ。


 他の従者は廃嫡となったエルフェンリル家では給金が出せなくなったため、ステーノとエルドが信頼出来る貴族へ紹介するか、まとまった退職金を渡すかの選択肢を用意し、判断を委ねた。


 彼らは最後まで涙を流しながらエルフェンリル家に仕えられなくなる事を悔やんでいた。

 そうして全ての従者が離れていきながらも、シリンだけはステーノの傍に残った。


「(私は、最後の最後まで貴方に仕える)」


 全員のティーカップに紅茶を淹れつつ、シリンはさらに昔を思い出す。


 ボロボロの姿で地面に倒れ伏し、死を待つのみだった自分を救ったステーノの暖かい手を。


 焼かれた体を、失われた腕を、潰された目を、千切られた翼を取り戻させてくれた主人の心を。


 そう、あの時自分はステーノに命を尽くすと誓った。


 ――貴方よりも遥かに長い命の中で、貴方に仕える時間が何よりも尊いものだったと思えるように、全身全霊をかけて。


 シリンは昔を思い出し少しだけ口角を上げると、家の扉がノックされる音が響く。


「お客様ですね」

「私が出ます、皆様はこの場でお待ちください」


 シリンは家の玄関へ向かう。

 5年前とは違い、たどり着くまで時間がかからない玄関。

 そこまで辿り着くと、シリンはゆっくりと扉を開く。


「お待たせしました、――リヴィア様!?」


 そこにいたのは自分の敬愛する主人の娘であるリヴィアと、1人の魔族だった。

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